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渡部さんは部長に呼ばれて、体をビクッと震わせた。そこにいる全員の視線が渡部さんに集まる。
彼女は身を潜めていて、大人しくしていた。あまりにも静かだったから、いつの間にかここから出ていったのかと思っていたが、何も出来ずにただいたようだ。
部長に固い返事をしてが、何を言われるのかと警戒している。
「私は最初、渡部さんと池永くんに頼んだよね? だけど、池永くんが不在のときに打ち合わせが早まったから、片瀬さんに手伝ってもらいながらやって欲しいと言ったんだけど、君はやっていないらしいね。どうしてかね?」
「えっ、あの……もちろん片瀬さんとやるつもりだったんですけど、片瀬さんが1人で出来るからと言ったのでお願いしてしまいました。それでも心配だったので、私もやっぱりやろうとしたのですが、池永さんが戻ってきていて、既にほとんどやってくれていたので私はやることかなくなってしまっていて……」
「そんな言い訳はいらない。渡部さんがそんな嘘をつく人だと初めて知ったよ。君も真面目にやってくれていると思っていたが、残念だね」
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