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「こうやってアイスを食べるんじゃなくて、ビールを飲むなんてさ、俺たちも大人になったよね」
「そうだね。不思議な感じもするけど、嬉しいよね、子供じゃないからなんでも出来る」
「なんでも?」
「え、うん」
広海くんがちょっと意地悪な感じで笑うから、戸惑った。なんでもって、いけないことを言ってしまった?
広海くんはコップを片手に持ち、空いている手で私の髪の毛を撫でながら微笑む。私は両手でコップを持っていた。
至近距離で見つめてくる広海くんに胸の鼓動が高鳴っていく。
「なんでもしたいと思うけど、いい?」
なんでもしたいからいい?とはどういう意味?
キョトンとする私に広海くんはまた意味深な笑みを浮かべた。それから自分のコップをテーブルに置き、私のコップも取り上げて、同じように置く。
より距離を縮めて、私の頬を撫でた。
「嫌だと言わないなら、いいと判断するけど」
そんな前置きをしてから、私の前髪をあげた。私の額にキスをし、唇にもキスをした。そっと触れるだけのキスだったけど、優しく温かかった。
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