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私が答えるよりも先に広海くんが答えたので、私はうんと頷いた。
「紗世……さん? えっ? まさかあの紗世?」
「あのって、どの紗世だよ? でも、想像と合ってると思うよ」
直海くんは目の丸くして、じっと私を見た。広海くんと私は驚いている直海くんを見て、笑う。
直海くんに私のことを話したら驚くだろうねと昨夜、話したばかりだった。
広海くんの横に並んで、改めて挨拶をした。
「直海くん、久しぶりだね。おばさんもこんにちは」
直海くん以上におばさんは手を口に当てて、驚いていた。
「ええっ! 片瀬さんちの紗世ちゃん? まあ、こんなに大きくなって、こんなにきれいになって!」
おばさんは広海くんの成長よりも私の成長の方がビックリしたという。
おばさんの記憶の中の私は子供の頃のままだから、いきなり26才の私に会っても分からないのは当然だろう。
広海くんとも私と同じくらい会っていないはずだ。直海くんから話は聞いているかもしれないが。
今日、会いに来たのには理由がありそうだった。私は広海くんの腕に手を添える。
「ねえ、広海くん。ここで立ち話していても暑いから、家にあがってもらったら?」
「そうだな……」
広海くんは、浮かない顔で直海くんを見た。
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