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「加藤さん、あそこの野菜ロースカツ弁当毎日食べてるものね」
「来たときは毎回、です!」
社員の中にはうんうんと深くうなずく者も多い。それほど有名だったのか、と小路は驚嘆した。しかし一方で、比佐とはあの日以来会っていない。素直に、寂しいなあと思った。
「じゃあこれはここまで。水戸さんもよろしくね」
コンベンション企画のサブリーダー、水戸さんに笑いかけ激励をすると「もちろんです」と力強い返事が返ってきた。
「ええと、次に参ります。先日の商品企画事案について――」
またがらりと議題は変わり、夏季にプロモーションを行っていた事案についてまとめを行う。やることはいくらでもある。その中で、何をやるべきか、見分ける能力が、本当の力だ。
背筋を伸ばして深呼吸をした。
離婚をして何かが変わったわけではない。日常も業務も変わりなく進行し、変わりなく、変わり続けてゆく。
その水面に現れた、富田比佐が少し……気掛かりだった。元気だろうか。ご両親もお元気なのだろうか。
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