変てこに歪んだ人に声かけられる系女子。

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 誰にも言えない悩みを抱えた時、静かに自分を肯定して欲しい時、一人で放っておいて欲しい時……。  そんな余白の時間を、この公園でひっそりと過ごして癒されてきたのに……そんな大事なスペースに土足で踏み込まれて、本当に不愉快だった。  しかも、あの男性の何が嫌かって……『可能性』を置いて帰ったことだ。  ――ひとりのわたしに、また誰かが声をかけてくるかもしれない。  夕方とはいえ、まだ日が高い時間帯であんな事を言われたのだ。朝だろうが昼だろうが、ひとりで公園に行く事自体にリスクがあるのかと気が滅入ってしまう。  日本ってそんなにリスク溢れる国だったのだろうか。  大体、この一件に限らずわたしはああいう「変てこに歪んだ人」に声をかけられやすい。  中学生の頃、駅でSuicaのチャージをしていたら、「小銭でいいのでお金を下さい」と男の人に懇願されたことがある。お金がないので、と適当な事を言ってその時はすぐに逃げた。  高校生の頃、男の人に道案内を頼まれたことがある。口頭でさっさと済ませようとしたら「喫茶店に行きませんか」と言われたことがある。もちろん、逃げた。  高校生の頃、学校の帰りにスーツ姿のおじさんに声をかけられたことがある。「前々から通学するのを見ていました。友達からお願いできませんか」と言われたので、「嫌です」と答えて逃げた。次の日から通学時間を一時間ずらして学校に行くようになった。  大学生の頃、バスが来るのを待っていたら、知らないおじいちゃんに「バスに乗るお金をくれ」とせがまれたことがある。走って逃げた。バスにも乗れなかったので、結局家までそのまま歩いて帰った。  大学生の頃、バイトの帰りに足を引きずったおじさんに絡まれたことがある。「足が痛い。お姉さん、僕をおんぶしてください。駅員さんは呼ばないでください」と言われた。逃げた。  ……改めて書き起こしてみると、いろいろと声をかけられて生きてきたもんだなと思う。上の例はほんの一部で、まだ他にもエピソードはある。  酔っ払いに「おいゴラァ!」と怒鳴りつけられたことがあるだとか、電車で隣の席になった人に鼻くそつけられたことがあるだとか……。  よく大きな怪我や事故に遭わずにここまで生きてこれたものである。  ちなみに、人に道を聞かれやすかったり、何かと勧誘を受けやすかったりするタイプでもある。
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