水平線から

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水平線から

周りには、驚くほどに何もなかった。 ただ黒とも藍色ともつかない線の上に腰掛けて座っていた。 水平線に座っている。 死んでいるなら、水平線に行きたい。 そう神様に願ったのは他でもなく自分なのだが、こんなに何もないとは。 できるだけ長く、とお願いしたので、日が登ってから落ちるまで居てもいいと言われたのだが、少し時間が長すぎた。退屈だ。正直後悔している。 体は透けていた。死んでいるからだと思う。 水に触れることもできない。潮の香りだけは感じられた。 ああ、暇だ。海水浴シーズンでもないから人も来ないので観察するものが本当にない。たまに海沿いの道路を走る車を目で追いかけるだけだ。 そんな時、ふと君のことを思い出した。
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