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【第二章】凛の気持ち
昼休み。
「こないだなんてさ、ハルくんが‥」
そう言って凛は陽翔の話を話し出した。
「なんか言った?」
陽翔が後ろを振り向く。
「席がこんなに離れているのに、
小声で話しているうちらの声がよく聞こえるよね。耳良いんだね」
葵(あおい)がびっくりして言った。
葵(あおい)、澪(みお)、杏(あん)は凛の友達だ。
休み時間になると4人集まってよく話をする。
「違うよ。陽翔は凛の声だけに反応するんだよ。私達が喋っていても聞こえてないのに凛が話す時だけ反応してるよ」
と澪。
「あー、なるほどね」
葵はニヤニヤ笑って言う。
「陽翔は凛が好きなんだね」
「そこんとこ、凛はどう思われますか?」
澪がペンケースをマイクのように握って凛に向ける。
「どうって‥」
「凛は陽翔をどう思っているかって事!」
澪が凛を問い詰める。
凛は周りをキョロキョロ見る。
「きっと今、陽翔の耳はこーんなに大きくなってうちらの話を聞いてると思うよ」
葵が両手で耳の形を作ってパタパタさせて笑う。
「やめなよ。ハルくんが困っているでしょ!」
凛は赤くなって立ち上がる。
「凛!凛!」
「うん?」
「顔真っ赤だよ。鏡みてみ」
澪が笑いを押し殺しながら小声で囁く。
「そんな訳ないじゃん!」
凛は否定する。
「陽翔も聞いてる事だし、凛が陽翔をどう思っているのかハッキリさせた方がいいんじゃない?」
葵がそう言うと、
凛がチラッと陽翔の方を見た。
陽翔は国語の教科書を逆さまに読んでいた。
わっかりやすっ!
「どうなの凛」
澪が顔を近づけて本題に迫る。
「ねえ、この話やめない?」
「そうだよ、りんちゃん可哀想だよ」
事態を見守っていた杏が口を開く。
葵「いいから。いいから」
澪「ひとことでいいじゃん。好きか嫌いかだよ」
凛 (そう言う好きとか嫌いとかじゃなくて、弟みたいな感じだし‥)
凛が小声で喋ると陽翔は教科書を置いて教室を出て行ってしまった。
「今、聞こえなかったけど何て言ったの?」
葵と澪が聞き返す。
凛は突然出て行ってしまった陽翔の事が気になっていた。
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