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【第三章】告白
凛と陽翔は近くの公園に遊びに出掛けた。
凛は鞄を背負って無言のまま歩いていた。
陽翔が急に教室を出て行ってしまった事について聞きたかったが、聞けなかった。
こう言う話題は恥ずかしくてなかなか聞けないものだ。
2人は無言のまま歩いた。
公園に行くには、2人の家からだと公園の裏口を目指すのが1番の近道だ。
裏口側は道路に面していて車の往来が多い。
さほど大きな通りではないので信号機が無く事故も多い。
陽翔は凛を庇うように道路側を歩いて車の往来を気にしていた。
「リンちゃん、気を付けて。
この時間は車、たくさん通るから。
僕が守ってあげるから今のうちに道路渡って」
陽翔が手を挙げて車を制しながら凛に横断を促した。
「いいよ。ハルくん。
私を守らなくても。
私が守ってあげるからハルくん渡りなよ」
何気なく言った言葉に、陽翔は下を向いた。
横断歩道を歩きながら陽翔が言った。
「じゃあ、鞄持ってあげる」
「もう着くから大丈夫よ」
凛は持っていたペットボトルを振りながら言ってしまった事を後悔した。
私、ハルくん、傷つけてるよね‥
公園裏口を入ると1番大きな広場に出た。
今日はまずこの広場を使ってフリスビーをしよう。
凛はそう考えながら歩いていた。
道具は凛が背負っている鞄に入っている。
「リンちゃん。あの‥」
と陽翔が足を止めてリンを呼んだ。
「ん?」
ペットボトルの水を口に含んでいた凛は立ち止まって陽翔の方に振り返った。
陽翔はフーーーっと長い息を吐いてからスウッと吸いこんで言った。
「僕、リンちゃんをお嫁さんにしたい」
凛は口に含んでいた水をゴクンと飲み込んだ。
「えっ?」
凛は口元の水を手で拭った。
「なに?なに?」
凛はドキドキする胸を手で押さえながらもう一度聞いてみた。
「僕、大きくなったらリンちゃんと結婚する」
凛は耳まで真っ赤になった顔を両手で隠してながら、
「け、けっこん??、けっこん??」
突然の申し出に、頭が真っ白になり声が裏返っている。
凛は一生懸命パタパタと両手で顔を煽いだ。
顔が大変な事になってるに違いなかった。
「いきなり何を言っているの、ハルくん??
これギャグ??」
「ギャグじゃないよ!本気の本気だよ!」
陽翔は両手をぎゅっと握り締めて言った。
陽翔も耳まで真っ赤になっていて、いつもの凛ならそれを突っ込むのだが、今の凛にその余裕は無かった。
ハルくんの事、弟みたいに思ってるから、急にそんな事言われても‥
「私なんかよりもっと可愛い子はいるし、
けっこんとかまだよく分かんないし。
そーゆー大事な事はもっと大きくなってから決めようよ」
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