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『いや…そんな訳には、払わせて』
「んー、じゃあこういうのは?お互い都合のつく時はあんたはウチで飯食う。俺は料理作るから、隼人は美味い酒持ってくる。それに家で試作とかやってんだけど、食って感想言ってくれる奴いると助かるんだ」
『そんなの俺にしかメリット無いけど?』
「いいんだよ、隼人の旨そうに食う顔好きだ」
ボボボっと音がしたように、隼人の顔が赤くなる。
「なんだよ、自分が持ってきたビールで酔ったのか?おもしれー奴」
『そ…そんなイケメン顔で、顔好きって言われたら誰だって照れるでしょ!』
「ククっ、やっぱおもしれーな。隼人は?そんなキレーな顔して、モデルかなんか?」
『まさか、普通のサラリーマンだよ?香水作ってる会社の…』
「なるほどな、どおりで洒落た匂いさせてると思ったよ。ただ、次からウチ来るときは香水禁止な。飯の邪魔になる」
『あ…ゴメン。気になるよね?』
「いや…あんたいい匂いだとは思うよ?」
『うん、ありがとう』
「ほら、連絡先…LINE登録しといて」
『うん、ありがとう…めちゃくちゃ嬉しい』
「何が?男と連絡先交換すんのが?」
『うん、俺に連絡先聞いてくる人って…その…下心ってゆうか、そんなのばっかりだから』
「ああ…隼人は美人だもんな?ああ、俺はそんなんじゃ無いから心配すんな」
『わかるよ、この引越しだって、ストーカーから逃げて…あっ、ゴメン…せっかく美味しいご飯頂いたのに…』
「いいんだ、リラックスしてろよ?コーヒー淹れてやるから」
俺はコーヒーを淹れながら考える、こんなに真剣に人と向き合ったことないな。基本めんどくさがりで、いつも上部だけ。
けど、こいつは守らなければと思った。なぜだろうな…
「なぁ、隼人…さっきストーカーから逃げて来たって」
マグカップに熱々のコーヒー。
『うん、取引先の人で…ちょっと挨拶しただけだったんだけど、翌日から会社の前で待ち伏せされるようになって…避けてたら家ばれしちゃって…襲われそうになって警察駆け込んだケド、男同士でしょってさ…なんか変な雰囲気になって…』
「ブッ、ストーカーって男?」
コーヒー噴いたじゃん…
『え?今更?クスクス…』
「女の美人は楽しそうだけど、男の美人は大変なんだな」
『ん、まぁ、もう慣れたけど…』
「なんかあったら、俺に言え…」
『え?』
「だから、またストーカーとか危ない目に遭ったりしたら…俺に言え」
『そんなの…ご飯ご馳走になるだけで充分。そんな迷惑かけられない』
「ばっか…おとなりさんだろ?歳も近いし仲良くしようぜ」
ポロポロ…
「お…おぃ…隼人?」
『ごめん…嬉しくて。俺こんなだから友人って呼べるほど信用できる人もいなくて。しかも新天地で…アキラに会えてよかった』
もともとキレーな奴だと思ってたけど、なんかコイツにハマる男の気持ちが何となくわかる。
庇護欲っつうの?閉じ込めて、自分だけのものに…
それくらいキレーな笑顔だった。
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