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友人の位置
それから俺たちは、月ニぐらいでウチで飯を食うようになった。
隼人は約束通り、美味い酒、最近ではデザートも用意するようになった。
さすがセンスがいいんだよな、酒もデザートも。上手くおれのツボを突いてくる。
夕方4時に今夜のお誘いLINEを送ったのに…どうした?返事がねぇ。いつもなら、すぐに返事が来るのに…
既読にはなってる、いや…なんでも無いだろ…ただ、忙しいとか返事ができないだけ…
にしても、もう8時だ。何やってんだ?いつもなら帰って来て、アイツは律儀にシャワーで香水を落としてからウチに来る。
香水の代わりに、シャンプーの匂いさせて来るから…なんっつーか…色気っつーか。
嫌がるだろうから、性的な意味にも取られるような会話はしない。
一応、食事の準備はしている。アイツがいつ来てもいいように。
部屋の中を行ったり来たりしながら、頭をフル回転させる。
電話…そうだ!電話…
俺はモヤモヤを晴らしたくて、LINEでテレビ電話を使った。
プツ…ツーツー
「は…っ…」
切られた…
嫌な予感が身体を駆け巡る。
俺は財布に携帯…部屋の鍵を握りしめ走り出した。
どこだ?わかんねぇ…
なんの当てもなく走った…見つかる訳ない…
トボトボとマンションに帰って来た時、ちょうどタクシーが止まった。
まさか…
目を凝らすと、長身のガタイの良いイケメンに支えられ、脚元フラついてんのは…
「隼人!」
【何だ君は?】
「うるせぇ、隼人!大丈夫なのか?」
『はぁはぁ…アキ…ラ…?ごめ…俺…』
何だ?息が荒くて、頬を赤く染めて…この顔、見覚えがある。
「おい、オッサン…隼人に何盛った?」
【な…何を言ってるんだ?そもそも君は誰だ?さっきから隼人隼人って】
「俺は隼人のおとなりさんだよ!文句あっか?わかった、救急車呼ぶからオッサンもそこにいろよ?」
【や…やめてくれ、彼はただ飲みすぎただけで…】
救急車呼ぶと携帯を手にした途端、慌て出すイケメン。
ざまぁねぇな…
「寄越せよ」
イケメンは小さく舌打ちして、隼人を俺に預けた。
「何、飲ませた?」
【……】
「警察呼ぶぞ…」
【ただの興奮剤…いわゆる媚薬だ…身体に害はないし、数時間で抜ける。身体が疼いて仕方ないだろうがな…君が相手なのか?彼の想い人は君?】
「は?相手?何言ってんだ?ふざけたモン飲ませやがって、二度と隼人に近づくな」
【一目で薬と見抜いたな…君は何者だ?】
「さっさと帰れ、エロクソオヤジ…だいたい、薬で相手をどうこうしようなんてクソだな」
ホテルでのサーブ中に見た事あんだよ…男に薬盛られて、イヤでも色気垂れ流しで男にもたれかかる女…
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