友人の位置

1/4
前へ
/12ページ
次へ

友人の位置

それから俺たちは、月ニぐらいでウチで飯を食うようになった。 隼人は約束通り、美味い酒、最近ではデザートも用意するようになった。 さすがセンスがいいんだよな、酒もデザートも。上手くおれのツボを突いてくる。 夕方4時に今夜のお誘いLINEを送ったのに…どうした?返事がねぇ。いつもなら、すぐに返事が来るのに… 既読にはなってる、いや…なんでも無いだろ…ただ、忙しいとか返事ができないだけ… にしても、もう8時だ。何やってんだ?いつもなら帰って来て、アイツは律儀にシャワーで香水を落としてからウチに来る。 香水の代わりに、シャンプーの匂いさせて来るから…なんっつーか…色気っつーか。 嫌がるだろうから、性的な意味にも取られるような会話はしない。 一応、食事の準備はしている。アイツがいつ来てもいいように。 部屋の中を行ったり来たりしながら、頭をフル回転させる。 電話…そうだ!電話… 俺はモヤモヤを晴らしたくて、LINEでテレビ電話を使った。 プツ…ツーツー 「は…っ…」 切られた… 嫌な予感が身体を駆け巡る。 俺は財布に携帯…部屋の鍵を握りしめ走り出した。 どこだ?わかんねぇ… なんの当てもなく走った…見つかる訳ない… トボトボとマンションに帰って来た時、ちょうどタクシーが止まった。 まさか… 目を凝らすと、長身のガタイの良いイケメンに支えられ、脚元フラついてんのは… 「隼人!」 【何だ君は?】 「うるせぇ、隼人!大丈夫なのか?」 『はぁはぁ…アキ…ラ…?ごめ…俺…』 何だ?息が荒くて、頬を赤く染めて…この顔、見覚えがある。 「おい、オッサン…隼人に何盛った?」 【な…何を言ってるんだ?そもそも君は誰だ?さっきから隼人隼人って】 「俺は隼人のおとなりさんだよ!文句あっか?わかった、救急車呼ぶからオッサンもそこにいろよ?」 【や…やめてくれ、彼はただ飲みすぎただけで…】 救急車呼ぶと携帯を手にした途端、慌て出すイケメン。 ざまぁねぇな… 「寄越せよ」 イケメンは小さく舌打ちして、隼人を俺に預けた。 「何、飲ませた?」 【……】 「警察呼ぶぞ…」 【ただの興奮剤…いわゆる媚薬だ…身体に害はないし、数時間で抜ける。身体が疼いて仕方ないだろうがな…君が相手なのか?彼の想い人は君?】 「は?相手?何言ってんだ?ふざけたモン飲ませやがって、二度と隼人に近づくな」 【一目で薬と見抜いたな…君は何者だ?】 「さっさと帰れ、エロクソオヤジ…だいたい、薬で相手をどうこうしようなんてクソだな」 ホテルでのサーブ中に見た事あんだよ…男に薬盛られて、イヤでも色気垂れ流しで男にもたれかかる女…
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加