31人が本棚に入れています
本棚に追加
月日は流れ
あれから隼人とは連絡が着かなくなった。
いつの間にか引っ越していたことに気づいたのは、新しい入居者に会ったから。
そうか…そんなに嫌だったのか。
そうだよな、薬のせいとはいえ男の俺に握られて咥えられて、痴態を晒してさ…孔に指突っ込まれてさ。
俺だったとしても、二度と顔見れねぇわな。
【ありがとう、ごめん】
それだけ残して去っていった。
あの後しばらく、隼人を探して彷徨い歩いた。
香水関係の会社を片っ端から。
そして見つけたのは、あの時のクソエロオヤジだった。隼人の上司だった。
【え?君、知らなかったの?隼人くんは退職したんだよ?てっきり、隼人くんの想い人は君だと思ってたのに…え?隼人くんはゲイだよ。その界隈であの美しさは有名でね?でも抱いても誰の物にもならないって…俺とはセフレの関係だった…だけどあの日、好きな人ができたから関係を切りたいって言われてカッとして…後悔しているよ…】
ゲイか…誰の物にもならないって…好きなヤツがいたのに…俺は…なんて事しちまったんだ…謝りたいのにそれさえできねぇなんてな…
隼人…会いたい…
もう一度会って、謝って…許して貰えたら…
ちゃんとこの気持ちを伝えたい。
俺は…隼人を愛してる。
多分、あの高級ビールもらった時から。
じゃないとおかしいんだ。
このめんどくさがりの俺が、仕事以外で誰かの為に飯作るなんてさ。
社交辞令かもしれない一回だけならまだしも、何度も…
アイツの旨そうに食う顔が見たくて、新作だってアイツの舌基準だった。
あの顔も、選ぶワインもデザートも…全てが俺のツボだった。
あの笑顔に会えるんだったら、何でもする覚悟はできている。
隼人…隼人…
全身であんたを欲しているよ、早く見つけないと…
誰の物にもならなかったあんたが…
誰かのものになる前に…
最初のコメントを投稿しよう!