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ビデオテープ
台所もある程度終わり次は居間だ。
古い戸棚などに囲まれ、コタツがある。
ばあちゃん家のこの場所は一年中、変わる事なくコタツにテーブルの上には新聞やら薬やら沢山の物が積み上げられている。
ばあちゃんは物を捨てられないタイプの人間だ。
その中には、お菓子の包み紙や箱や外包装までもが綺麗に折り畳んで置かれていた。
俺は、ばあちゃんに問いかけた。
「なぁ、ばあちゃん、これ要らないよな?これはゴミだから捨てるからね?」
俺は、それらを躊躇なく捨てた。
全く思い入れの無いものやゴミは、すぐに捨てられた。
順番にそこにある戸棚の引き出しを開けていく。
すると、何やらビデオテープがぎっしりと並んでいた。
何の内容か解るように、それぞれ題名が書かれていた。
あきら お食い初め
あきら 誕生日
あきら お宮参り
あきら 入学式
あきら 運動会
あきら 卒業式……
もっともっと、沢山のビデオテープがあった。
俺は、ばあちゃん家のビデオデッキで再生してみた。
ばあちゃんは、いつも笑顔でその片隅から俺を見守る様に映っていた。
「ばあちゃん、俺を指名したのは、これを見せる為だったの?」
ばあちゃんの俺への愛がじんわりとゆっくりと、俺の心の中に染み込んでいくのを感じた……
「ばあちゃん1人にして、ごめんな……」
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