買い取り業者

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買い取り業者

俺は思い出の品以外、お金になりそうな物は買い取り業者に買い取ってもらおうと、業者を呼んでいた。 コンコン。玄関から扉を叩く音。 「こんにちは。何でも買い取り○○です。」 「はい。こんにちは。宜しくお願い致します。」 「勿論です。高く買い取らせて頂きますよ。」 「ありがとうございます。早速、こちらです。どうぞ上がって下さい。」 「ありがとうございます。失礼致します。」 買い取り業者さんと、家の中を隅々まで回り、かなりの量の品々、家具等を買い取りしてもらった。 そして、家の中から沢山の物が買い取られ運び出された。 みるみる変わっていく、思い出のばあちゃんの家を見ていると何だか、とても寂しい気持ちに捕らわれた。 「この思い出のばあちゃん家、無くなっちゃうんだな……」 俺は無意識に小さく呟いていた。 そんな気持ちとは裏腹に作業は着々と進んでいた。 荷物の運びだしも終わり業者さんに買い取り金額を聞いた。 すると、驚く程の金額だった。 「えっ?こんなに貰えるんですか?!」 「はい、うちは高価買い取りしてますし、おばあ様の大切なお品ですから。何よりも、おばあ様の骨董品のセンスが良かったですよ。」 「えっ?骨董品だったんですか?ただの安い物かと思ってました!埃かぶって汚かったし。でも高く買い取ってもらって、ありがとうございます。」 「いえいえ、おばあ様のお陰です。こちらこそ、本日はお売り頂きまして、ありがとうございました。では後日お金は振り込みさせて頂きます。失礼致します。」 「ありがとうございました。また宜しくお願い致します。」 業者さんも帰り、まだ散らかっているが、明らかに前の思い出の家からは様変わりしたその景色に、とてつもなく俺の心は喪失感で満たされていた。 「ばあちゃん……ばあちゃんとの思い出が少しずつ無くなって行く……ばあちゃん、これでいいか?」 何とも表現し難い、その心の中のモヤモヤは、俺の中で掻き回す度に俺の目からは何粒も何粒も雫が溢れ落ちた。 ばあちゃんは、もう居ないんだな…… 当たり前に居た筈なのに、もう2度と会えないなんて……
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