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噴水広場でグリーンのキャミソールワンピースの陽菜が待っていた。僕が声をかけると、嬉しそうな笑顔を陽菜は浮かべた。
僕と陽菜は手を繋いだまま、夜空に打ち上げられる花火を見上げた。
ふと隣を見ると、花火に照らされる陽菜の顔はとても綺麗だった。心の底からかわいいと思った。
力いっぱい陽菜を抱きしめたかった。
これが夢の中だとわかっていても。
悲しい夢だ。
*
重い瞼を開けると、誰かが僕を見下ろしていることがわかった。
茶色の髪をした女性であることはわかったが、それが誰なのかぼんやりとした視界でわからなかった。
「大丈夫?」
「陽菜……?」
掠れた声で僕は名前を呼んだ。
しかし、ぼんやりとした視界の中で、その女性は首を横に振った。
少しずつ視界が鮮明になり、僕はそれが誰であるのかがわかった。
陽菜の友人だった榊真衣だった。
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