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 公園にある時計を見ると八時二十五分を過ぎたところだった。  花火が始まってからもう二十分以上が過ぎていた。  辺りは花火を見上げるカップルたちや親子たちで溢れていた。この光景を陽菜はどんな思いで一人で見ていたのだろう。  こんな場所に一人で待たされていれば、帰りたくなるかもしれない。  額から流れる汗を手で拭い、汗ばんだTシャツの襟首を何度か持ち上げてから「オレのせいだな」と小さな独り言を言って、僕は天文橋を渡った。  帰ったらもう一度、陽菜に連絡しよう、いや絶対に連絡しなければダメだ、今日中にしっかり謝らないとダメだ。僕はもうどうせ汗をかいているのだからと再び駅まで力任せに走った。  六月に部活を引退してから二カ月余り。  すっかりなまってしまった足は重く、汗で背中にくっついたTシャツは気持ち悪く、全く夏に馴染んでいない身体で僕はアスファルトを走った。  
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