1/3

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

 家に帰り、すぐにシャワーを浴びて、僕は部屋に戻った。  スマホを確認してみたが、まだ陽菜の既読はついていなかった。 『それは……私と花火は見たくないってこと?』  昨日の夜、電話をしていたときの陽菜の声が蘇る。 「そんなわけないだろ……」  僕はベッドに寝転んだ。  高校一年の春に陽菜とは同じクラスになった。はじめはうまく話すことができなかったけれど、秋の文化祭で話すようになり、僕は気づけば陽菜のことばかり目で追うようになっていた。  二年の秋に僕から告白してつきあうことになったとき、これ以上の幸せはないんじゃないかと思えるぐらいだった。  スマホの写真フォルダを開き、陽菜とつきあってから最初に二人で撮った写真をタップした。ただ、なんとなくだった。 「なに見てるの?」  ふいに高い声が響き、驚きのあまり、僕はベッドから跳ね起きた。  開いたままのドアの側に人が立っていた。  グリーンのキャミソールワンピースを着た茶色の長い髪の女の子が立っていた。  陽菜だった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加