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家に帰り、すぐにシャワーを浴びて、僕は部屋に戻った。
スマホを確認してみたが、まだ陽菜の既読はついていなかった。
『それは……私と花火は見たくないってこと?』
昨日の夜、電話をしていたときの陽菜の声が蘇る。
「そんなわけないだろ……」
僕はベッドに寝転んだ。
高校一年の春に陽菜とは同じクラスになった。はじめはうまく話すことができなかったけれど、秋の文化祭で話すようになり、僕は気づけば陽菜のことばかり目で追うようになっていた。
二年の秋に僕から告白してつきあうことになったとき、これ以上の幸せはないんじゃないかと思えるぐらいだった。
スマホの写真フォルダを開き、陽菜とつきあってから最初に二人で撮った写真をタップした。ただ、なんとなくだった。
「なに見てるの?」
ふいに高い声が響き、驚きのあまり、僕はベッドから跳ね起きた。
開いたままのドアの側に人が立っていた。
グリーンのキャミソールワンピースを着た茶色の長い髪の女の子が立っていた。
陽菜だった。
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