泥棒

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「きみ、もしかして、オズさんのお子さんかぃ?」 と、その時だ。 ラスカルが酔いが覚めないまま、気の抜けた声でそんな事を訊ねた。 一同は当然、奇妙に思う。 ちょうど今し方オズの子について話していたからといって、いささか発想が突飛ではないか。 「何故そう思うのかね」 「いい匂いがするから」 「匂いって」 「オズさんとドーズさん、同じいい匂いがするんだぜ。お花みたいな、お日様みたいな、なんかすごくいい匂い。この子も同じ匂いがするんだ」 ふにゃふにゃした笑顔で、ラスカルは嬉しそうに語る。 「ミフネさんと同じく」 「は?」
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