泥棒

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オズワルドの子と、生まれた時からそう呼ばれてきた。 意味するところは「生まれて来なければよかった子供たち」といったところかの。 そう言われるのも無理はない。 凌辱の末身篭らされた母も。その父兄にも。 だが、父親はどうなのか? あのオズワルドとかいう男は、何を思って子供をここまで大量に拵えた? オズの子全員が、どれだけあの親父に振り回されたと思う。 大人になった今はいい、問題は子供時代じゃ。 親がいないだけでも後ろ指さされるが、肝心のその親がアレだと知ると、酷いんじゃよ。 まさに筆舌に尽くし難い目に遭ってきた。 自分たちきょうだいの不遇な人生に、そもそも意味などあったのか? それを知りたいというのが、わしら「子供」たち一同の願いだ。 だが、生憎とオズワルドは、首と胴が泣き別れた挙句、人格もそれぞれ違ってしまっている。 だから、判らない。 優しい頭と感情的な胴体、はたしてどっちの言い分が正しいのか……。
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