泥棒

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ーーーーー 無事オズの子二人を収監したあと、クローバーはある決意を固めていた。 ラスカルに、あの日のことを謝ろうと。 あの行為が合意の上なはずだったとはいえ、嫌がっているのを無理に続けた。 そのことは有耶無耶にすべきでは無いものだ。 「ラスカル」 「ん〜?なんだぃ」 未だに酔いを引きずっているのか、一人でゆらゆら揺れて鼻歌を口ずさむラスカルに、声をかけた。 ラスカルは、別に不快そうにはせず、むしろへにゃっと笑う。 こんなふうに笑顔を向けられるのは、いつぶりだろう。 「その……先日は、申し訳ないことを……」 「えっちした事かぃ?いいよ別に。ぼくこそ悪かったね。色々と」 土下座ののち切腹する覚悟だったのに、恐ろしくあっさり許されてしまった。 「そんな、あっさり許さないでくれ。ビンタでも、蹴りでも、なんでも……」 「いいって、そこまで気にしてないよ。少なくとも今は」 「……お前まだ酔ってるのか」 「酔ってないよ。シラフだよ」 「シラフでそんな風な態度ができるような男が相手じゃないだろォ。どうしちまったんだ」 単純に、心配だからそう聞いた。 どうもラスカルが酔っ払っているだけには思えなくて。 「いい事があったから。だから、全部どうでも良くなったんだ」 「いい事……?」 「ぼくね、気づいたんだ。『オズワルドさんの子』達の共通点。みんな、ドーズさんより背が低くて、いい匂いがして目が悪くて、目が青いんだよ。もちろん親もいない」 にっこりと、ラスカルが笑う。 嬉しそうに、幸せそうに。 「ルークもオズさんの子だったんだね」 それを聞いたクローバーは、ラスカルが何故こんなにも上機嫌なのか悟って、愕然とした。 ラスカルはそんな事気にもとめず、またゆらゆら揺れ始めた。
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