7人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーーーー
無事オズの子二人を収監したあと、クローバーはある決意を固めていた。
ラスカルに、あの日のことを謝ろうと。
あの行為が合意の上なはずだったとはいえ、嫌がっているのを無理に続けた。
そのことは有耶無耶にすべきでは無いものだ。
「ラスカル」
「ん〜?なんだぃ」
未だに酔いを引きずっているのか、一人でゆらゆら揺れて鼻歌を口ずさむラスカルに、声をかけた。
ラスカルは、別に不快そうにはせず、むしろへにゃっと笑う。
こんなふうに笑顔を向けられるのは、いつぶりだろう。
「その……先日は、申し訳ないことを……」
「えっちした事かぃ?いいよ別に。ぼくこそ悪かったね。色々と」
土下座ののち切腹する覚悟だったのに、恐ろしくあっさり許されてしまった。
「そんな、あっさり許さないでくれ。ビンタでも、蹴りでも、なんでも……」
「いいって、そこまで気にしてないよ。少なくとも今は」
「……お前まだ酔ってるのか」
「酔ってないよ。シラフだよ」
「シラフでそんな風な態度ができるような男が相手じゃないだろォ。どうしちまったんだ」
単純に、心配だからそう聞いた。
どうもラスカルが酔っ払っているだけには思えなくて。
「いい事があったから。だから、全部どうでも良くなったんだ」
「いい事……?」
「ぼくね、気づいたんだ。『オズワルドさんの子』達の共通点。みんな、ドーズさんより背が低くて、いい匂いがして目が悪くて、目が青いんだよ。もちろん親もいない」
にっこりと、ラスカルが笑う。
嬉しそうに、幸せそうに。
「ルークもオズさんの子だったんだね」
それを聞いたクローバーは、ラスカルが何故こんなにも上機嫌なのか悟って、愕然とした。
ラスカルはそんな事気にもとめず、またゆらゆら揺れ始めた。
最初のコメントを投稿しよう!