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「なァミッフィーよぅ。おめえさん、マジであたしの側かァ?」
「どういう意味かのう」
「ほかのきょうだい達は、全員『頭部』派だがおめえさんだけは違うと言った。あれは嘘か本当か?」
「どうかのう」
「ミフネ。ふざけてんじゃねェ」
砕けた呼び名を改め、兄を呼び捨てにするコノハナ。
立ち止まっているため空いたままの距離。
それを詰めるべく、コノハナが一歩踏み出した。
「っ!」
コノハナの鼻先を、何かが掠める。
刃物……日本刀だ。
鈍い銀に輝くそれに付着した血液を雑に振り払うと、ミフネは再び刃を鞘に納めた。
「なあ……おまえさん、思わんか?人が人を正そうとするのは、そいつに余裕がある時だけだと」
「……何が言いてェんだィ」
「コノハナ……コノハナ……妹よ。わしはおまえさんが嫌いじゃ。ほかを差し置いて自分だけ幸せなおまえさんが。だからあまり調子に乗ってくれるな。殺したくなっちゃうじゃろ」
台詞はどこかひょうきん。
だがつい先程までの優しい態度は、完璧に消え去った。
表情、所作、声色、目つき。それら全てから放たれる『憎悪』。
きっとこれがミフネの本質なのだ。
「……殺すだァ?あたしをか」
「何じゃ、怖気付いたかね」
「いやあ?」
だるそうに返しつつ、彼女が懐から取り出すは玉飾りのついた簪数本。
ちょうどクナイのように構えて、ミフネを睨んだ。
「返り討ちにできる気しかしねェよ」
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