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新たな旅路の始まり
五日ほど自堕落な生活を送りながら、自分の考えを整理する時間を設けた。これでも僕は宇宙飛行士に選ばれただけの精神は持ち合わせていたようで、衝撃の事実を受け入れ、前を向くことができた。
さて、前を向いたはいいものの、エネルギー問題と食料不足の問題がまだ残っている。幸いなことに、僕は反物質を回収することが出来ている。
数日前に拠点でみたPDAには、ためになる情報がいくつか書いてあった。そのうちの一つは、拠点の地下に、反物質からエネルギーを取り出すための巨大な磁場装置が完成しているということだ。問題な行動を起こしてばっかりだと思われていたUNIFSも、きちんとやるところはやっていたみたいだ。反物質を厳重に保管しているケースを背負い、さっそく地下へと足を運ぶことにした。
地下の会議室の扉の前には、埃が積もったビル内のマップがあった。800年のうちに、知らない場所が沢山作られている。会議室前の廊下をさらに奥に進むと、半円状の巨大な扉が表れた。明らかに人が通る用の扉ではないそれは、乗用車であれば横並びで5,6台は並べられてしまいそうだ。手で動くとは到底考えられない。
僕が来てからこの拠点は、必要なところのみポッドに残ったエネルギーで動かしている為、地下は基本的に真っ暗である。ヘッドライトを頼りに巨大な扉の横まで行くと、そこには人間サイズの扉がきちんと用意されていた。しかし、こちらは鍵が付いており、きちんと南京錠で施錠されている。ピッキングのスキルを持っている、というより宇宙飛行士として訓練していた際に習ったので、いざピッキングをしようと鍵の前に顔を寄せて屈むと、鍵穴は酷くさびており、とてもピッキングのツールが入るような穴は残っていなかった。
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