孤独の認識

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孤独の認識

孤独とは、頼りになる人や心の通じ合う人がおらず、ひとりぼっちで寂しいこと。 そう、ひとりぼっちなのだ。4年半かかった任務を終え、やっとの思いで地球へと帰ってきた。しかし、そこには白一色の惑星があるのみであった。 作戦本部との通信は取れず、僕は一人で本部のあるアメリカ、シリコンバレーへと向かうことになった。僕の中にはまだ僅かな希望が残っていた。きっと本部には誰かが残っている。本部へ向かう道の街にはきっと人がいるはずだ。 カナダ、ブリティッシュコロンビア州南部からシリコンバレーのあるカリフォルニア州は長い道のりである。 いくら運動能力に優れた宇宙飛行士と言えど、4年半の無重力生活を経て、体の筋組織は弱くなっているに違いない。体が重いーーー ……移動を初めてから5日、ブリティッシュコロンビア州西部の海辺へ出た。そこで見た光景は、綺麗な水平線などではなく、果てなく続く氷平線であった。海面が凍りつき、どこまでも氷が続いている。このような状況でなかったら、感動していたに違いない。なんて綺麗な光景だ、と。 しかし、この光景は僕にさらなる絶望を突きつけた。僕が地球にいなかった4年半の間に、一体何があったのか。他のポッドのメンバーは無事なのだろうか。
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