生還されど孤独と絶望

1/1
前へ
/10ページ
次へ

生還されど孤独と絶望

ーー任務を遂行し、無事地球に帰還した。 「こちら第7ポッド操縦士、桜部 悠(さくらべ ゆう)。作戦本部に伝達。任務を遂行し、地球へ帰還した。着陸点はカナダ北部。応答を求む」 ……返事はない。大気圏に突入前、既に分かっていた。地球はもう、出発前の正常な状態ではなかった。 何百年前の大先輩である、ユーリ・ガガーリンは「地球は青かった」と言ったという。彼の言葉を借りて言おう。 「」 大気圏突入前、この惑星の見た目は僕の知らない星だった。白一色の惑星。青かった海は氷で覆われ、緑が美しい山々はとうに無くなっていた。 「応答信号の反応無し。これからアメリカにある作戦本部へ向かう。ログ終了」 宇宙飛行服に搭載されたレコーダに録音を完了し、僕は静かにヘルメットを取った。粉雪の降る、一面の銀世界がそこには待っていた。 6c1ba165-c0c3-487f-864a-de24b8b64847
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加