次は僕らの結婚式?

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次は僕らの結婚式?

 白を基調としつつナチュラルな雰囲気を併せ持つ、暖かな自然光が差し込む自然溢れるチャペル。  大きな窓から隣接したガーデンと自然光が差し込む、白とブラウンで統一された落ち着いた雰囲気の上質なバンケットルーム。  ここ『Démarrer』は、郊外に有りながらも人気の結婚式場だ。  ウェディングプランナーとは、結婚式を総合的にプランニングし、お客様が人生において最も輝く瞬間を提供する、責任重大な仕事である。秋月がどうしてこの仕事に就いたか。人に喜ばれる仕事がしたい、感動を生む仕事がしたい、そんな感じだっただろうか。確かにかつてはそんなことを思っていたような気がする。  秋月は今や押しも押されぬ看板プランナーとして、式場になくてはならない存在となっている。秋月指名でやってくるカップルもいるほどだ。その理由は、接客が丁寧、希望を引き出すヒアリング力に長けており、提案するプランが的確でニーズに合致している、などなど、彼の手腕に寄るところも大きいのだが、彼の容姿も大きな要因のひとつかもしれない。  すらりとした長身にかっちりと着こなしたスーツは、職業柄とても仕立ての良いもので、また彼もそんなスーツに負けない体型をしている。顔が小さくて足が長く、そんな外見で目映いばかりの笑顔と共に丁寧な扱いをされれば、誰もが彼に骨抜きにされること必至だ。だがこの仕事の性質上、骨抜きにされては困る。彼を見つめる新婦の目がハートになって新郎がむっとしている、という状況を幾度となくくぐり抜けてきた。秋月にとって女性からそういう目で見られることは、仕事に支障を来す恐れがあるため、正直なところ迷惑だったりする。嬉しい要素は皆無であるのは、彼が同性愛者であるからであり、おかげでいくら色目を使われたところで万が一の間違いも起こりようがないのであった。
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