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言いにくいと言いながら、ものすごくきっぱりと言い切った。秋月は一瞬驚き、その後すぐ呆れた。が、あくまでお客様。なるべく顔に不快を出さないよう、務めて柔らかい口調で言った。
「……お客様、お話は以上でしょうか」
「え……」
「お客様と良い関係を築くことが出来て、私も大変嬉しゅうございます。今後とも協力して、よりよいお式を……」
「そういうんじゃなくって」
「と……申しますと……」
「だから、好きになったんですって」
「……私を? 貴方が?」
「はい。なので付き合ってください」
さっさと済ませてくれとは思ったが、内容が内容なのにあまりにも直球すぎるし性急すぎる。さすがの秋月も舌を巻いた。
「そもそも、新郎様はご結婚されるからここへいらしたわけで……」
「あっ、それは大丈夫です!」 あっけらかんと笑顔で言われ、何が大丈夫なんだと苛立ちすら覚えたが、聞けば覆面調査だったという。新婦役をやっていた女性は本当は上司で、今回の打ち合わせが最終の調査だったらしい。
「それで、もう会えなくなるのが嫌で、こうして思い切って告白してます。付き合ってください」
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