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独り
私は暗い部屋で独りで壁に寄りかかっていた。
小さな棚と机だけが置いてあるだけの質素な部屋の中で机の上のパソコンだけが光を抱えていた。
そのパソコンには先程まで見ていた記事が写し出されていた。
かつての仲間の笑顔が、仲間の努力が長々と書かれていた…もちろん、妹のことまで。
「はぁ…。」
こうなってから何回目かも分からないため息をついた。
私が幼い頃に思い描いた未来は来てはくれたものの長くはなかった。
…自分からその道から離れただけだったのだけど。
自分がどんな性格の人間かも判別できなくなった。
ただ、明日が来るから少し期待を寄せているだけ。
不意に垂れ流していたラジオから妹の明るい声がする。
あぁ、元気そうじゃん。
私は苦しくなった胸を押さえて呟いた。
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