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いきやすい?
「うーんと、小雨ちゃんの飲む薬は―っと。おっとどうしたの小雨ちゃん。うん、そうなの。」
守が小雨との手話の会話を成立させて信用されている。
世の中、知らないことがたくさんあるなぁ。
「ごめんねぇ。それは分からないなぁ。」
…この手話を理解している人はどれだけいるだろうか。
「どうしたの?」心配そうに守が俺の顔を覗く。
「小雨はなんて言ってるんだ。」
「テレビ、消してくれた?って言ってるんだよ。」
守が「ねー。」と笑って言った。
「今、正解っていったな。」
柊さんも笑って言った。
「あれ、柊さんも分かるんですか?」
「あぁ、教えてもらっているんだよ、知らないことだらけで、面白いよ。」
小雨にとって、安心する場所になりつつあるのかもしれない。
「小雨―。寝てなさいって言ったよね。」
神楽が帰ってきて、小雨の頭をポコッと叩いた。
「さあね、知らないって言ってる。
小雨とね、皆でお話をしてたんだよー。」
その話を聞いて神楽は微笑みをこぼした。
「あ、手紙が来てたよ。」
小雨は手紙の封筒を受け取り、見るなり立ち上がってズボンの埃を払った。
さっきまでふらふらしていたではなかろうか。
「…社長に呼び出されちゃったよ、行かないとね。」
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