待ってて。

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待ってて。

僕はキッチンで常に抉られ続ける傷を塞ぐようにワインを流し込んでいた。 空には月でさえ出ていなく、新月だった。 「…びっくりした。バレたのかと思ったよ。 あはは。」 カラカラの笑い声だけが部屋に満ちていく。 黒く、汚い気持ちだけが。 いつもなら流せる言葉が刺さって抜けないし、吐いてでも出さないと。 皆が来るまでに掃除しないとね。 真っ黒な気持ちを真っ赤な花弁で隠しましょ。 僕を月の影で隠してしまいましょう。 誰にも見つからない所ような暗い所に。 雨が降るまでに。 「…神楽さんの同情には疲れたよ…。 優雨もそうだったのかな、だから辞めたとか。 …僕もそうしよぉ!!」 持っていたワイングラスを壁に投げつけて立ち上がった。 「待ってて、優雨。」
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