【第1話】模様替えの予感

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【第1話】模様替えの予感

学校帰り、嫌という程通るこの坂道も今日はまるで旅先への道中かのような高揚感に身が包まれていた。 四限目のチャイムが鳴り響き、授業からの呪縛からの仮釈放に午後の授業からも逃避し友達と青春の一ページを塗り分けていく者も居れば、午後の授業の宿題手つかずで一日中獄中にいる後者も居り、風刺絵を邦画で実写化を遂行しているかのようなカオスな昼休み。 僕は友達からのお昼ご飯の誘いを未然に防ぐかのように早歩きで購買へ行き、商品名を告げるだけで一瞬で買えてしまうVIP待遇のおまけつき、ツナデニッシュを2つとミルクと砂糖たっぷりのまろやかミルクコーヒーのホットをパートのおばちゃんに告げ、校舎裏へと続く。 スマホ使用禁止のこの高校で違反を犯しスマホ没収のシナリオへと針が進んでいくこの気持ち悪い背徳感を常に背中に感じてもなお、有機ELパネル搭載のハイモデルで見たい視覚情報がこの世界に存在する。 そう、それは今流行りの「ルームツアー」だ。
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