Episode.1

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「おっ、来たな。最後の一人!」  集合場所に着くと、案の定ずらっと人が揃っていた。視線が痛い。が、特に追及されることなく、あっさりとミーティングが始められた。 「えー、新入局員7名を迎え、新年度が始まった。今年度も、凶悪事件は幾つも起こるだろう。それらを解決していくのが、我々の使命だ。各自、気を引き締めていくように。」 「「はい!」」 古市は、課長の話を聞きながら周りをゆっくりと見渡す。思っていたより人が多い。そんな中、新入局員たちの中に見知った顔を見つけた。 (ゲッ、坂本(さかもと)じゃん…!) 坂本霧雨(きりさめ)――訓練校時代、古市と同室だった青年である。ストレートの長い黒髪と太めの眉毛が特徴的なバカだ。古市が静かにしたい時も、散々絡まれてうざったかったのを覚えている。 「――では、早速班に分かれて懇親会というか…まあそんな感じだ。とにかくこの表を見て分かれてくれ。」 「あの、班って…?」 「あー…うちは一件一件に時間がかかりがちだからさ、5つの班に分かれて捜査を行うんだ。かつての警察とはまた仕組みが違うんだ。」 「へえ…」 一課には、α(アルファ)β(ベータ)γ(ガンマ)δ(デルタ)ε(イプシロン)の5つの班がある。表を見たところ、古市はγ班らしい。古市はγ班と記されたスペースへと移動する。すると、先程案内してくれた安藤の姿があった。 「あ!さっきの…」 「安藤よ。安藤千景(ちかげ)の教育係よ。宜しくね。」 「あ、宜しくおね…って“たち”って何ですか!?」 「表見たでしょ?もう一人いるのよ。ね、坂本くん。」 「お、古市じゃん。」 「わーっ、坂本!?」 まさか、コイツと同じ班だとは。古市は驚愕した。厄介になりそうだ。 「あら、二人共知り合いなの?」 「知り合いも何も、僕たち同室で…」 「そうそう。つーことで、コイツの扱いは慣れてるんで。」 「言い方ァ!」 「ふふ、賑やかね。」 「おいおい、俺らのことも忘れんなよー?」 「「すみません!」」 うっかり、いつも通り自分たちの世界に入り込むところだった。古市は顔を赤くする。一際大柄な男性がガハガハと笑い、話し始める。 「じゃ、俺らも自己紹介しないとな。まず俺は佐倉(さくら)昌行(まさゆき)、この班の班長だ。んで、この陰険そうな眼鏡野郎が――いでっ」 「流石に怒りますよ?あー、俺は松永(まつなが)(しげる)、副班長だ。しっかし――古市。初日から遅刻とは、何事だ。自覚が足りないんじゃないか?」 「すみません…」 「ま、まあ…ちょっと体調悪そうでしたので…」 「尚更だ!報告くらいしなさい!」 「松永落ち着けって!」 「すみません。…コホン、今度から気をつけなさい。」 「はい…」 厳しそうな人だ、と古市は感じた。いや、自己管理がなっていなかったのが問題なのだが。そんな中、1人の女性が控えめに挙手をした。 「あっあの!私も、良いでしょうか…?」 「勿論だ。」 「はい…私は雪野(ゆきの)咲穂(さきほ)といいます。…まだ、三級局員ですが…」
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