気になる過去

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「あ…あの…早乙女さんにお伺いしたいことがあって…」 「…うん。どんな事…?」 「早乙女さんは、龍崎さんと学生時代からご一緒ですよね…?」 「…うん。それがどうしたの…?」 「り…龍崎さんの…昔の…彼女とか…奥様とか…ご存じ…ですよね…?」 少し前のこと、部屋を掃除していたら、圭吾の昔のアルバムが出て来たのだ。 いけないとは思ったが、つい中を見てしまったのだ。 すると、急に昔のことがきになりだしたのだった。 圭吾の過去について尋ねると、早乙女さんの顔が、急に真顔になったことに気づいた。 聞いたことを後悔する。 「ご…ごめんなさい…私…変な事…聞いてしまいましたね。気にしないでください。」 「…いや…恵美ちゃん。教えてあげるよ。」 「あ…あの…やっぱり…止めます…ごめんなさい!」 「…恵美ちゃん。…知っておいた方が良いかも知れない。」 早乙女さんがこれからどんな話をするのか、とても恐くなってくる。 私は聞いたことを受け止めることが出来るのだろうか。 一度目を閉じた早乙女さんは、ゆっくりと瞼を上げて話を始めた。 「龍崎は学生時代から付き合っていた彼女が居たんだ。彼女は龍崎に夢中だった。後から分かったんだけど、彼女も前世でルシファーに憧れる天使だったようだ。学校を卒業と同時に二人は結婚したんだ。」 「そ…そうなのですね…」 「でもね…龍崎は…君の存在に気づいてしまったんだ。」 「わ…私ですか!」 早乙女さんは笑みを浮かべて頷くと、また話を続けた。 真っすぐ見つめられると、心臓が鳴る。 「もちろん、恵美ちゃんは気づいて居ないと思うけど…就活の時に、今の会社の説明会に来てるでしょ?」 「…はい。」 「恵美ちゃんは急いでいたそうだけど、入り口で男性とぶつかったのは、覚えているかな…?」 「あ…確か…遅刻しそうで焦って説明会に来たのは、覚えています。」 「その時に、ぶつかったのは龍崎だったそうだよ。」 「え…そんなに前に…私は龍崎さんに会っていたなんて…」 確かに会社の説明会に、急いでいたのは覚えている。 暫く、当時を思い出していると、誰かにぶつかった事は、少し覚えていたことに気が付いた。 「龍崎はね、恵美ちゃんの存在に気づいたけど、忘れようと努力したんだ。もちろん、妻も愛していたからね。」 私の心臓は激しく鳴りだした。 過去の話とは分かっていても、圭吾が愛した人の話は辛い。 …聞いたのは、私なのに…後悔している 早乙女さんは私の表情に気づき、心配そうに瞳を覗き込んだ。
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