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…そんな…私の所為だ
…私が…彼女を…殺してしまったんだ
涙が溢れて止まらない。
何も知らなかった。
そんな過去があったなんて。
「…早乙女さん、私はどうしたら…良いのですか?私のせいで…そんな…命を絶つなんて!!」
早乙女さんはゆっくり首を振って、私を真っすぐ見た。
「恵美ちゃん、彼女の最後の言葉を忘れないで欲しい。自分の命に代えても、龍崎と君を幸せにしたかったのだからね。」
「…早乙女さん、でも…」
早乙女さんは、私の涙を親指で拭い、微笑んでくれた。
私はショックで何も見えなくなりそうだった。
「それでも龍崎は、君の幸せを考えて、すぐに自分の元に来なくて良いと言ったんだ。君には恋人がいたからね。優しい男なんだよ。」
「そ…そうだったのですね…」
早乙女さんは私の震える手を、落ち着かせるように優しく握りしめてくれた。
その時、後ろから聞き覚えのある低い声が聞こえて来た。
「…早乙女!恵美に触るな…まったく!!」
振り返ると、急いで駆け付けた様子の圭吾が、息を切らせて立っていた。
その怒った表情に、早乙女さんがクスッと笑う。
お店の人は、椅子を引き、圭吾を椅子に座らせた。
圭吾は私の顔を覗き込み、泣いていたことに気づいてしまったようだ。
「…恵美、泣いているのか…?」
「ち…違います!」
「…早乙女!お前が泣かしたのか…?」
早乙女さんは笑みを浮かべながら、少し呆れたように話始める。
「…龍崎は、こう見えても、女心が分からない鈍い男だからな…」
「な…何が分からないんだよ…?」
「もっと、しっかり恵美ちゃんを安心させてあげないと…俺が奪うよ!!」
私は、思わず顔が赤くなってしまった
「め…恵美も、顔が赤いぞ…早乙女に照れるなよ…!」
早乙女さんは圭吾を真っすぐ見て話し始めた。
少し眉を寄せた、悔しそうな顔をしている。
「龍崎、悔しいけど…俺はお前にいつも勝てない。大学のミスターコンテストも、お前が優勝で俺は2位だった…」
「早乙女、そんなこと覚えていたのか?」
「前世でも俺はお前に勝てなかったようだ…前世の俺はリリスを愛していたが、リリスはお前を心から愛していた…。そして今も、俺は本気で恵美ちゃんを好きになりそうだが、お前には勝てないよ!悔しいけどな!」
「早乙女!」
こんなにも完璧に見える早乙女さんが、圭吾に対してそんな思いがあったことに驚いた。
もちろんそれは圭吾も同じだったようで、開いた口が塞がらないとは、正に今の圭吾の表情だろうと思う。
早乙女さんは、突然立ち上がり笑顔を作ってウィンクした。
何故かその表情が苦しそうに見えて、心が締め付けられた。
「僕はそろそろ失礼しようかなぁ。龍崎、恵美ちゃんを泣かせるなよ!」
「な…なにを言うのだ。泣かしたのはお前だろ!」
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