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早乙女さんが帰ってしまうと、圭吾と二人になり、少し気まずい。
圭吾に涙を見せたくなかった私は、笑顔を作り圭吾の顔を見た。
「…恵美、何かあったのか…?」
「…圭吾…私…」
「…えっ…どうしたんだ。」
どうしても涙が、溢れて止めることはできなかった。
涙で圭吾が見えなくなる。
「…圭吾、私の所為で…大切な方を…失ったのでしょ?」
「…恵美…なぜ…それを知っている…」
「…ごめんなさい…何も知らなくて…私は自分の事ばかり…」
「…恵美は何も悪くないよ…俺がちゃんと話せば良かったんだ…不安にさせて…ごめん…」
「…圭吾…後悔しているよね?きっと…」
「…恵美…全て話すよ…」
そろそろお店も閉店の時間が近かった。
私達は家に帰って話すことにした。
私は泣き顔を隠すように、背の高い圭吾の腕に顔を寄せて歩いた。
圭吾は無言で私の頭を優しく撫でてくれる。
泣きたくないのに…また涙が出る。
家のベランダで圭吾は、缶ビールを飲みながら私を呼んだ。
圭吾は隣にいる私の頭を優しく撫でてくれるが、何も話そうとしない。
…少しの沈黙が苦しい。
自分の心臓の音が煩く感じる。
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