兄と弟

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 こちらのことも考えてほしい。なんと答えればいいのだろう。植物になってしまえば、こうして話すこともできなくなる。  たとえ血の繋がらない弟でも、俺にとってはかけがえのない人物だ。幼い頃、俺の後ろをヨタヨタとついて回っていたのを思い出す。喧嘩という喧嘩をしたこともなく、弟は今でも俺にべったりだった。初めて会ったときから可愛くてたまらなかった。もちろん、今だってそうだ。  俺はまだ成人もしていない弟を失うのが、こんなにも悲しくてたまらないというのに、弟は気にした様子もなく尋ねる。 「サラダみたいにして食べられるものだといいと思うんだよなぁ。そうしたら、簡単に兄貴に食べてもらえるよね?」 「は?」  何を言ってるんだ、こいつは。  俺がお前を食べる? そんな馬鹿なことをするつもりはない。 「食べないぞ」 「なんでだよ。僕のこと食べてよ。あ、でも母さんたちにはあげないでね。ぜんぶ兄貴に食べてもらいたいから」 「いや、なんで俺が食べること前提になってるのか分かんねーし」
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