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蒼と姉弟になったのは私が中学三年生のときだった。私の父親と蒼の母親が再婚し姉弟になったのがちょうど高校受験のときで、何でそんな一大事件をぶつけてきたのか少し理解に苦しんだ。
しかし翌年に蒼も高校受験を控えていることがわかり、今年は私と父の住む家に引っ越してきてくれたので、仕方ないと考えるようになった。私だけが苦労を被るわけではなく、お互い様だった。
顔合わせで知ってはいたが、一緒に住めば住むほどわかることがあった。蒼はとんでもなく不細工。小柄で太ってもいなければ痩せてもいないが、パグのような丸いしわくちゃな顔で不細工を通り越して愛らしいともいえた。
少女マンガでは必ず美男美女の義姉弟、義兄妹が構成されるはずだが現実は甘くない。蒼だけでなく、私もどこにでもいる女子高校生で外見は人並み、勉強は苦手ではないが得意なわけでもない。
蒼は不細工だったが運動が苦手ではなかったし、何より勉強がよくできた。なぜ私と同じ高校に進学したのか不思議に思うほどに。
勉強ができる蒼が羨ましかった。勉強ができるのだからもっとレベルの高い高校に進学してほしかったのに、そうしなかったことに怒りさえ覚える。
蒼が入学して間もなく、私は蒼をいじめるようになった。どうせ同じ高校に通う二年間だけだし、大学進学と同時に家を出るつもりだった。一緒に高校に通う二年間だけはずっといじめに徹しようと決め、三年生も後半にさしかかったところだった。
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