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「うん。……今の就職活動ってさ。どこでも、一番優先されるのはコミュニケーション能力なんだよね。それこそ、有名大学出ていることよりも、一緒に仕事して楽しいかどうかとか、仲間やお客さんと円滑なコミュニケーションが取れるかどうかが一番重要っていうか。……私は、それが全然ないの。すぐ頭が真っ白になって、緊張して、言うべきことも言えなくなっちゃうし。それでつい沈黙して、相手に“さっさと言え”ってイラつかせちゃうし」
「そうだろうか?俺はおぬしにイラついたことはないぞ。というか、俺とも出逢ったばっかりなのい普通に喋れているではないか」
「え?そ、それはそうなんだけど」
そういえば、何故アリエルとは喋っていても緊張しないのだろう。思わず首を傾げた。
「俺が思うに、小夏は言葉をじっくり考えて、選んでから喋る癖がついているのだと思う。それは本来良いことであるぞ?言ってしまった言葉は取り返しがつかぬ。相手にとって問題ない言葉か、誰かの名誉を貶めないかをしっかりと考えて発現するのは非常に堅実で素晴らしいことだ。……が、それを待てない輩はそんなおぬしを勝手に根暗だと決めつけるのであろう。おぬしの言葉を引き出すスキルもない己を棚に上げてな」
随分とずばっと言ってくれるものだ。心地が良いほどに。
なんとなくわかっていたが、結構正直者過ぎて苦労するタイプなのではないだろうか、彼は。
「接客や営業以外の仕事などいくらでもあるではないか。そういう仕事では、仲間を思いやって交流する最低限のスキルがあれば問題ないはず。おぬしにその能力がないと俺は思わない。というか」
むす、とアリエルは頬を膨らませて言った。
「おぬしは笑っている方が魅力的なのに、そのように沈んだ顔ばかりさせるような会社に居続ける価値があるとは俺には思えない。おぬしはそうは感じないのか?」
「!!」
だから、何でそんな恥ずかしいことをあっさり言えてしまうのか。
自分は、本当にダメダメな人間なのに。調子になんか、乗ってはいけないのに。
「私、よその会社でも、やってけるの、かな……」
赤くなって俯けば、“無論!”とアリエルが手を握ってくれた。
「幸い、貯金はあるから暫くは問題あるまい?何、最近は地球ではテレワークも増えているようだし、自分に合った職を自宅でやるのも悪くはなかろう。俺も協力するぞ」
「ありがとう。でも、なかなか、やめる勇気が……」
「そういうことならば、それもそれで手があろう」
にやり、と彼は笑って、それから。
「何、俺に考えがある。任せてくれたまえ!」
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