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「ジキルとハイドか。子供の頃に読んだっきりだな。また読んでみようかな。子供の頃に読んだ小説は大人になって読み返すと印象が変わるっていうし。」
「あぁ、読んでみるといい。今の僕がどういう仕事かが分かるからな。ところで本題だけど、鳥田信康と山谷組の関係について何か握っていないか?」
「もちろん。鳥田信康と山谷組はもうズブズブと言っても過言じゃない。ウチのお客様に山谷組の若頭がいるんだけど、自慢げに鳥田信康とのツーショット写真を見せてくるんだ。その写真は週刊誌にもリークされていたけど、寸分の狂いもなく私に見せてきた写真と同じだったよ。」
「なるほど。これは山谷組の誰かが鳥田信康を陥れるために文潮出版にリークしている可能性も高いな。」
「それは流石に考えてもいなかった。伴くん、君は天才だよ、」
「いや、トミちゃん。君のほうが天才だ。」
「そんなぁ、子供の頃の話を持ち出されても困りますよぉ。」
その時だった。
都美子が僕を抱きしめてきた。
アルコールを含んでいるのもあって、僕の心臓の鼓動が早くなった。
都美子からはいい匂いがする。
なんだか母親を思い出してしまった。
「伴くん、このことは、警察にはナイショね。」
「あぁ、分かっているよ。」
――僕は瞼を閉じて、都美子の鼓動を感じていた。
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