Phase 00 眷属

1/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ

Phase 00 眷属

 【独占入手!鳥田信康と山谷組の黒い付き合い】  週刊文潮では今まで鳥田信康(とりたのぶやす)のスキャンダルを数多くスクープしてきた。中でも指定暴力団山谷組との付き合いはネット上でも噂になっていたが、今回新たに山谷組の組長である剛田万次郎(ごうだまんじろう)との2ショット写真を入手した。  鳥田信康が北新地で経営するクラブ「バードハウス」のVIPルームで(いか)つい容姿に豪奢(ごうしゃ)なスーツを身にまとった満面の笑みを浮かべる男性。それこそが剛田万次郎である。  テーブルには約30万円相当のドンペリが置かれており、剛田万次郎がボトルキープをしたものと思われる。  更に、写真に写っているのはこの2人だけではない。  人気お笑いコンビ「風呂上がり牛乳隊」の宮原博(みやはらひろし)の姿もそこにはあった。  宮原博はかつて神戸を拠点としていた半グレ集団「タランチュラ」との付き合いが噂されていたが、タランチュラ自体が兵庫県警の手によって壊滅させられたので真相は闇の中に包まれてしまった。  しかし、半グレ集団のみならず京阪神でも札付きの指定暴力団とのコネクションをもっているとなると鳥田信康と宮原博が所属している芸能事務所「吉竹興業(よしたけこうぎょう)」のコンプライアンスにも関わってくる。  週刊文潮では、これからも引き続き吉竹興業の闇を追っていくつもりだ。(井川公好)  「何だこの記事はッ!我々吉竹興業はクリーンなイメージの元に成り立っているんだ!暴力団との付き合いなんて認めんぞッ!」  そう言いながら、吉竹興業の会長である尾崎昭(おざきあきら)は週刊誌を破り捨てた。  吉竹興業は関西を拠点とする芸能事務所の中でも屈指の知名度を誇っており、長年ライバル事務所である梅松芸能(うめまつげいのう)と熾烈な争いを繰り広げてきた。一方、吉竹興業は規模が大きい分黒い噂もあり、暴力団とのコネクションが噂されていた。  特に宮原博と半グレ集団の付き合いは吉竹興業のコンプライアンス問題が露呈する結果となり、宮原博は半年間の活動自粛処分を受けることになった。  そして、宮原博の復帰が迫ろうとしていた時に週刊文潮がこのようなゴシップ記事を執筆したので当然尾崎会長はカンカンに怒っていたのである。  「せっかく兵庫県警の手によってタランチュラが壊滅したというのに、こんな記事を書くなんてどうかしているッ!」  「会長、落ち着いて下さい。所詮(しょせん)は週刊誌のゴシップ記事です。」  「落ち着ける訳無いだろうッ!鳥田信康と宮原博は我が事務所の稼ぎ頭なんだぞッ!」  「分かりました。鳥田信康と宮原博にはこのことは内密にしておきます。」  「それなら、俺に任しておきな。」  「あ、あなたは山谷組の若頭、志津都龍悟(しつとりゅうご)さんじゃないですか!」  「金はたくさん持っている。何ならマスコミへの口止めも行うつもりだ。」  「ありがとうございますッ!今回の件、文潮出版への訴訟をお願いしますッ!」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!