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結論からいいますと、翌日も、その翌日も、警官がたずねてくることはありませんでした。
どうやら男の子は孤児で、夜間営業のお茶屋さんに売られていたようです。そこから、逃げ出してきたのだとか。
もし戻れば、口にするのもはばかられる『あんなことやこんなこと』を、強要されることになります。
「いやだよ! ぼく、かえりたくない!」
なので、男の子は断固として魔女にしがみつき、はなれようとしませんでした。
「あなたがひろったんですから、あなたが世話をなさい」
とほうに暮れて日本魔女協会に駆け込みましたが、そのひと言でバッサリ切られてしまいました。正論です。
というわけで、悪事をもくろんだ魔女と、少年・壱の奇妙な生活は、はじまりました。
──ていうか、いつの間になついたのよ!
壱が子猫のごとく甘えてくるわけを、魔女は激しく理解できません。
頭はよかったのですが、肝心なところで抜けている、ぽんこつなのでした。
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