セーフワードは、愛してる。

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 コツン、と。  膿盆の上に、ピンセットで銃弾を置いた時、静かな室内に音が響いた。  患者の肩からそれを摘出した時、苦痛の声が僅かに漏れた。貫通していれば良かったのだろうが、わざわざ闇医者の俺のもとまで来るのだから、最初からこの状態を想定はしていた。縫合し、患部に包帯を巻いていく。消毒薬の香りが、俺は嫌いではない。なお局所麻酔が切れた時、きっとこの患者は痛みに泣くのだろうが、鎮痛剤を処方する予定も皆無だ。俺に依頼された内容は、『銃弾を摘出して欲しい』という行為のみだからだ。  そもそも医師免許を持たない俺には、処方箋を出す事が出来ない。  だが問題は無いのだろう。今回の患者は、俺に、国内未認可のSub不安症の薬を密輸入して卸してくれる組の人間だ。合法・違法を問わず、彼らは薬に不自由していないはずだ。逆にそちらから、俺側が必要な医薬品を分けて貰う事さえある。
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