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プロローグ
その夜、北の辺境を領土にする一族が滅亡した。
たった一晩で、石造りの城が瓦礫と化し、死体の山ができたという。
隣接する一族の襲撃であると、まことしやかな噂が流れたが、違うという者もいた。
なぜならば、隣接する一族も、その一族とともに滅んだから。
滅ぼされたのは、パーン一族。
錬金術を扱い、この世界を裏から操っていると言われていた謎の一族。北の辺境から出てくることはなく、彼らのほうから呼ばれなければ、会うことが叶わない。小柄で、特徴的な尖った耳と金の瞳を持っている。
過去を解き、未来を導く、賢者の集団。
彼らを失い、王都も世界もよすがを失った。
滅ぼしたとされたのは、グーデンバウム一族。
殺戮を好むと恐れられた、黒髪碧眼、巨体の一族。傭兵として、各地の戦闘収束やモンスター狩りを請け負っていた戦闘集団。彼らを見たら逃げろと誰もが言う。見境なく殺されるぞと、人は言う。
パーン一族だけが彼らと交流し、仕事の仲介をしていた。
狂戦士が解き放たれた。誰も彼らを止められない。
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