プロローグ

1/1
前へ
/5ページ
次へ

プロローグ

 その夜、北の辺境を領土にする一族が滅亡した。  たった一晩で、石造りの城が瓦礫と化し、死体の山ができたという。  隣接する一族の襲撃であると、まことしやかな噂が流れたが、違うという者もいた。  なぜならば、隣接する一族も、その一族とともに滅んだから。  滅ぼされたのは、パーン一族。  錬金術を扱い、この世界を裏から操っていると言われていた謎の一族。北の辺境から出てくることはなく、彼らのほうから呼ばれなければ、会うことが叶わない。小柄で、特徴的な尖った耳と金の瞳を持っている。  過去を解き、未来を導く、賢者の集団。  彼らを失い、王都も世界もよすがを失った。  滅ぼしたとされたのは、グーデンバウム一族。  殺戮を好むと恐れられた、黒髪碧眼、巨体の一族。傭兵として、各地の戦闘収束やモンスター狩りを請け負っていた戦闘集団。彼らを見たら逃げろと誰もが言う。見境なく殺されるぞと、人は言う。  パーン一族だけが彼らと交流し、仕事の仲介をしていた。  狂戦士(バーサーカー)が解き放たれた。誰も彼らを止められない。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加