一 福来善朗の視点

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「ああ、わかった。それじゃ、いつにする? どこに行けばいい?」 「早くしないと犠牲者が増える可能性もあるんでね。急で悪いんだけど、今夜、バイト終わった後に◯◯駅に来てくれないかな?」  依頼を承諾し、俺が予定を確認すると、言い淀むこともなく夜見はそう訊き返してくる。最初からそのつもりだったのだろう。 「乗り換えしないで行けるな。じゃあ、11時半ぐらいでどうだ? バイトあがって電車飛び乗ればそのぐらいになる」 「了解。じゃ、そういうことで。悪いけどよろしくね」 「おう。んじゃあとでな」  ほんとに急なことだが、悲しいかな、芸人としての仕事はほぼ皆無なのでスケジュール的に問題はない。早々に話がまとまると、俺達は互いに電話を切った。 「おっと、もう休憩終わりか……しっかし、犠牲者が増えるって、やっぱヤバイ案件なんじゃねえのか?」  通話をオフにしてスマホの画面を見ると、すでに仕事再開の時間となっている。俺は一抹の不安を覚えつつも、急いで休憩室を飛び出した──。
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