半年後

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半年後

中村玲子は美容整形手術の診察に来ていた。 半年前「イタリアントマト」の店を出た次の日 中村玲子は美容整形手術の予約をしていた。 そして、手術を受ける前に育ての母親の中村恭子の妹を尋ねた。 母親の恭子の妹は子供が出来なかった為玲子をとても可愛がってくれた。そして今回も一人で誰もいない実家にいても淋しいだろうそう思って母親の恭子の妹美智とその夫井上荘司は温かく迎えてくれた。 井上家は最新のキッチン用品を作っている会社を 荘司が一代で作り上げたと近所でも有名な富裕層 だった。 美容整形手術の診察が今日で終わった中村玲子は 今生活している井上家に帰って来た。井上玲子として、井上家の養女として井上玲子は玄関の前で 改めて大きな和風の家を眺めていた。 大きな玄関のドアそして植木職人が手入れをしている松の木そして弊で囲まれている大きな家瓦の屋根がとてもいい感じで和風の家の良さを醸し出している。井上玲子はこの家がとても好きだった。 そして子供の頃から可愛がってくれた今では母親の井上美智や父の井上荘司の事も大好きだった。 井上玲子は何故美容整形したのか?この家にどうして養女に入ったのか?哲也の真相を調べる為だとは言えなかったが、井上美智と荘司は気づいている様子だった。 「ただいま~」 お手伝いさんと井上美智は井上玲子を温かく迎えてくれた。 「どうだった?診察?もう痛くないの?」 「お帰りなさいませ。お嬢様」 四~五人のお手伝いさんと井上美智は玲子に声を掛けた。 「ただいま~診察は今日で終わりだって~痛くないわ~ごめんなさい。心配かけて」 「そんなの家族なんだから当たり前よ~それにしても綺麗ね~私も美容整形しようかしら~まずほうれい線とか~ほっぺたのたるみとか目元とか~たく さん治したいところがあるわ~でも、手術は怖いな~玲子ちゃん凄い」 玲子は美智おばさんて変わらないな~そう言えば いつも玲子ちゃんて凄い。そう言って私を誉めて くれてたな~懐かしい記憶~。そう言えば私はもう一つ忘れてはいけない記憶があったような気がする それはなんだったのか? 「お母さん、九重って名字に心当たりない?」 玲子は井上美智に聞いた。 「知らないわ。そんな名字」玲子はその時はじめて 井上美智が動揺している姿を目の当たりにした。 玲子はその日会社が休みで家にいる井上荘司にも 同じ事を聞いた。 父の井上荘司も明らかに動揺していた。 「知らないよ……」そう言いながら。 二人は何かを隠している。いったい何を…… 中村玲子が井上家に来てもう半年になる……なのに この家には、絶対に開けてはいけない部屋が一つ と物置小屋は絶対に開けてはいけないと言われていた。何故?開けてはいけないのか?哲也の真相に 関係があるんじゃないのか?と玲子はそう思っていた。 何故なら両親が交通事故に合ったのは井上家の近くだったのだ。 そして哲也が自殺する前にこの井上家に行ったと いうことが半年の間に調べてわかったことだった。 井上美智も荘司にも玲子と哲也はとても可愛がってもらった。 だから哲也のことは関係ないはず。玲子はそう思いたかった。でも、井上家に入ってから物置で赤いバイクを見たと言っている近所のおばさんが出てきたのだ。 玲子は可愛がってくれた叔母さんや叔父さんを疑いたくはなかったがバイクを持ってない叔父さんや 叔母さんがバイクを持っていたとしたら? 玲子は叔父さんや叔母さんには何か理由があるのかもしれない?その真相を確かめなければならない?そしてこの井上家が何故か近所に嫌われている理由を?近所の人は気のせいか?井上家を見てこそこそ笑っている。私のこともじろじろ見ているような気がするのは気のせいだろうか? とにかく私は予定通り、「エクレアパン菓子教室」に来週から通う事にした。 「お母さん私、エクレア菓子パン教室に来週から 通う事にしたから」 「あらそう~会社も辞めた事だし気分転換にいいわね。もしかして~その教室?弟の哲也の真相を調べるの?危ないわ、それは警察の仕事よ」 「エクレアパン教室の事知ってるんですか?」 「それは……だって九重……」 「えっ?九重?」 井上美智はあわてて口を結んだ。 「私、ちょっと掃除の続きだったわ~」 井上美智はそう言って玲子の側を離れた。 叔母さん達は何かを隠している? 九重……あの名字を叔母さん達は知らないと言った でも、明らかに叔母さんは動揺している。九重…… 確かに叔母さんはそう言った。 この家には何かある。人には云えない何がが? それはもしかしたら哲也の死の真相に関係があるのかも知れない。。。 玲子は九重……そう言いかけた叔母さんの言葉が気になった。。。
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