エクレアパン菓子教室

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エクレアパン菓子教室

井上玲子は顔を整形してエクレアパン菓子教室に入会の手続きをした。 中村玲子がまさか顔を変えて名字も変えて真相を 調べに来ているとは誰も気づかない玲子はそう思っていた。 玲子は井上玲子として整形をしたせいか自分に 自信がつき歳も誤魔化していたのだった。 実際は三十歳だったが哲也と同じ二十二歳と言って入会をした。 「皆さん~ちょっとこっち向いてくださる~今日からこのお教室に通う事になった井上玲子さんよ。 さあ玲子さん皆さんに自己紹介をして」 「はい、今日からここに通う事になりました 井上玲子です。お菓子とパンが大好きなので前から通いたいと思っていました。宜しくお願いいたします」 教室はざわついていた。 「凄い美人」「モデル?」「歳はいくつだろう?」 「どんな化粧品使ってるのかな?」「肌ケアとかどうしてるんだろう?」「女優さんじゃないの?」 「まさかね?」 「えっと~井上玲子さんのグループはそうそう、 あのグループが一人足りなかったわ。 九重絵理さんのグループね絵里さんいろいろ教えてあげてね。そうそう、井上さん私の名前を教えてなかったわね。私の名前は犬井幸子です。 改めてお願いします。じゃあ井上さん九重さんの隣に座ってね」 「はい。宜しくお願いします。九重さん」井上玲子は九重に笑顔で挨拶をした。 玲子は九重絵理。九重絵理が哲也の彼女? これはチャンスだ。九重絵理が哲也が貢いでいた 彼女かどうかを調べるチャンス。それに先生の名字犬井?犬井社長の親戚なのだろうか?それともたんなる偶然なのか? 「では始めましょうか。今日はシチューに合う 食パン作りです。皆さんビニール手袋をしてから テーブルの上に置いてある材料をボールの中に全て入れてよくこねてくださいね。粉っぽいところがないくらいによくこねてください」 「上手ですね井上さんパン作るの趣味だったりします?」九重絵理は井上に声を掛けた。 「そうなの。趣味でよく作るのよ」玲子はそう答えるとにっこりと笑った。 「そう言えばこの教室ってomg株式会社の社員さんが沢山通ってるって噂があるですけど~本当ですか?」 九重は言った 「なんだあなたも就活で来たのね。よく就活で来る人がいるのよ。みたところ井上さんって大学卒業したばかりに見えるしね。美人だしここに通わなくても就活できるわよ」 そう言って九重絵理は気さくに笑った。 「そうだーこの教室の後、皆で買い物に行かない? ここのグループだけで」 「いいわねー私、井上さんのコスメとか興味あるの~化粧品の買い物今度付き合ってよ」 九重絵理は玲子の耳元で呟いた。 「ほらね。美人は得でしょう?」絵理はクスクスと笑っていた。 九重絵理はとても笑顔で可愛い優しい気配り上手な女性だった。 この日、玲子が手を滑らせてお皿を割ってしまった時「大丈夫?怪我なかった?ほうきで片付けてから掃除機で吸い込んじゃいましょう。皆も手伝って」 絵理は玲子の怪我の心配をしながらお皿をテキパキと片付けてくれた。 「パンをオーブンの発酵機能で発酵している間に 鍋にそこに書いてある材料を入れて煮込みます」 どのグループも鍋に材料を入れて煮込んでいた。 しばらくするとコトコトと煮込んだビーフシチューのとても美味しそうな匂いが漂っていた。 二時間後食パンとビーフシチューが出来上がった。 「ではいただきましょう。いただきます」 「美味しい本当に」「食べながらこのグループだけでも自己紹介しましょう」「そうですね」 「まず私から九重絵理です。宜しくね」 「斎藤加奈です宜しく」 「岩田理恵です宜しく」 「石田真理です宜しく」 「本宮良子です宜しく」 玲子のグループは玲子を入れて六人のグループだった。 「このビーフシチューと食パン美味しいわね。お姉さんにも食べさせたかったな~。最近来ないのよね~」 玲子は聞いた。 「お姉さんがいるんですか?」 絵理は「義理の姉がね兄のお嫁さんの九重和恵さんなんだけど、ここに通いたいと行って入会したんだけど最近休んでばかりいるの」 玲子は「そうなんですね~それは心配ですね~」 そう絵理に言ったけど、心の中では「おかしい? 哲也の死の真相を調べるといっておきながら休む なんて何かあったのか?」心配になって玲子は絵理に尋ねた  「連絡はあったんてすか?何で休むとか?」 絵理は言った「具合が悪いらしいの。兄がそう言ってたわ。今日病院に連れて行くみたいよ」 玲子は「そうなんですねそれは、心配ですね」 絵理は言った。「大丈夫よ兄はお姉さんにメロメロなんだからきっと看病してるわ。もう、ラブラブ 過ぎて~妹としては恥ずかしいわ。だから姉の事は兄に任せているの」 玲子は思った。絵理さんはとても気さくで優しくて明るい子。こんな子が哲也に貢がせる悪女のはずない。哲也の彼女だった子は別にいる。 でも。何で和恵さんは哲也の彼女は絵理さんだって言ったんだろう? 玲子は教室が終わるとグループの皆と化粧品を買いに出掛けた。「井上さん化粧品何使ってるの?ケアはこのパック使ってるの?私も買っちゃおう」 「私のなんて参考にならないわよ~安物だし」 「美人なんだから自信持って」 「次は洋服よ」 「絵理の買い物は長過ぎだよー。井上さん疲れたら適当に帰っていいからね」 「えーそんなに長過ぎ~」 「井上さんは入会したばかりなんだから疲れてるわよ」 「大丈夫~?」 「大丈夫よ体力には自信あるから」 「そう?なら次行こう」 「しょうがないわね~」そう言いながら皆、絵理の後を付いて行った。 玲子はますますこの子は違う。絶対に~。 そう思っていた。 玲子が教室の皆と別れたのは夕飯近くだった。 玲子が自宅に戻ると玲子の携帯が鳴った。 「はい。もしもし、和恵さん……。哲也の彼女がわかったのよ。哲也の彼女は……キャ~あ~ーッ……ッッ……」 「どうしたの?和恵さん……和恵さん……ねえ?和恵さん」 玲子が九重和恵の声を聞いたのはこれが最後だった。 「和恵さん和恵さん」玲子が何度和恵に呼び掛けても和恵が携帯に出る事はなかった。 数日後……。 和恵は自分の実家の麻生製紙工場で遺体となって 発見された。 そして、その第一発見者は九重絵理だった。
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