数日後

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数日後

井上玲子は九重和恵の行方が気になっていた。 警察にも事情を話したが、まだ事件にもなっていないからと取り合ってもらえなかった。 玲子は手当たり次第思い当たるところは探し回っていた。 川越の「イタリアントマト」のお店にも行って みた。 店長にも事情を話した玲子だったが最近は九重和恵は店に姿を見せないと言っていた。 玲子は心配でたまらなかった。 「哲也の彼女がわかった……きっとその彼女に殺されたんだ……いったい誰が?」そう思いながら一旦自宅に戻ることにした。 戻ると母親の井上美智と井上荘司が玄関前で玲子を待っていた。 「玲子~大変だぞ!玲子が探していた九重和恵さんが殺されたぞ!」 玲子はしばらく呆然としていた。 「えっ?殺された?」 「丁度今ニュースでやってるから~犯人は捕まったみたいだぞ!」 「えっ?捕まった人は誰?」 「第一発見者の九重絵理だよ。麻生製紙工場で遺体で見つかったらしい」 「えっ?九重絵理さんが?」 美智と荘司は玲子に言った。 「九重絵理は哲也の彼女だったらしいよ。 本当にあの親子は卑しい親子だよ!全く!どこまで私達に迷惑かけたら気が済むのかしら?」 「哲也を殺したのは九重絵理よ!私は哲也をもし、殺したとしたら絶対に許さない!もう九重家と関わらない方がいい九重家はみんな常識のない人間の 集まりなんだからな。和恵さんも麻生家の娘だから似たような者だけどね。とにかくもう関わらないで!」 玲子に美智は言った。玲子も美智に尋ねた。 「お母さんやっぱり九重家の事を知ってるのね? 昔……。何があったの?」 荘司と美智は黙り込んで俯いていた。 「お母さん。お父さん。」 「正直にもう、話してもいい頃なのかも知れないわね」 「母さんそんな事言ったら玲子が傷ついてしまう……。」 「でも、もう隠しておけないわ。玲子覚悟して聞いてね。あなたの実のお父さんが麻生和敏って言うのは知ってるわよね。その愛人が九重萌 九重絵理の実の母親よあの九重萌は自分の子供の玲子を捨てた癖にお金を要求しに来たのよ。 生活費が足りたないと言ってね。 しかも玲子がまだ三歳の時にちょうど家で遊んでいたところに九重萌が来たのよ。 そして玲子の前で言ったわ。 お金をもらえると思って好きでもない男の愛人に なったってね。麻生家から沢山のお金を貰いながら家にも来て、生活費よこせと言って来たのよ。 それが度々来て言うから私達は玲子にもう近づかないでそう言って百萬円を渡したわ。 ところが玲子が十歳の時、哲也と同じ2歳の自分の子供を九重萌が一時的に預かってほしいと言ってね。庭に自分の子供を置いて逃げて行ったのよ。 それが九重絵理よ。絵理は萌をママ~ママ~って泣きながら追いかけたわ!でも、萌は新しい男の車に乗って走り去ったわ。私は絵理の世話をする事になった。でも、泣いてばかりいる絵理が鬱陶しく思えたのそして玲子も急に私が遊んでくれなくなった事でイライラしている様子だった。 そのせいか玲子は絵理を邪魔物扱いにして虐めていたの。私はそれを見て止めようともしなかった。 それどころか玲子が絵理を叩いているのを見て玲子ちゃん凄い凄いそう言って誉めたわ。 絵理が大声で泣いているのに。御飯も少ししか与えなかった。あなたは家の子供じゃないからそう言ってね。水を掛けたり、洗濯ばさみで頬を摘まんだり髪の毛を引っ張ったりして毎日泣かせたわ。 そんな時、萌が家に来てね二歳くらいの絵理を連れて帰ったわ。男に捨てられたと言ってね。 帰った後キッチンをみたら絵理が冷蔵庫の中の食物を食べ散らかしたみたいにぐちゃぐちゃになってたの。その時はお手伝いさんもいないから片付けるのが大変だったわ。置いてあった果物も汁が墜ちていてべたべたしてたわ。本当にみすぼらしい卑しい子供だったわ。庭に落ちた物も拾って食べるのよ」 玲子は昔の遠い忘れようとしていた記憶が蘇ってきた。 そうだった……。私はあの時、あの子をみすぼらしい卑しいと思って見下していた。 私は、お母さん達に愛されて育った。 愛人の子供だとも知らなかった。。。 捨てられたことさえ知らずに愛情を与えられて育てられたんだ……。だからあの子を見下してた。 ボロボロの服を着て母親に愛されていなかったあの子を汚いと思ってたんだ。 そんな酷いことをした私に絵理さんは優しくして くれた。そんな優しい彼女が人を殺すなんてあり得ない。玲子は九重絵理は絶対に犯人じゃないと心からそう思っていた。 その時、玲子の携帯電話がなった。。 「はい、警察の……向田さん。えっ?九重絵理さんが?哲也と付き合っていた彼女?それで哲也と和恵さんを殺害したと考えてるんですか?後は、自白を待つだけって……。そんなはずない。絵理さんは そんな事する人じゃありません。絵理さんが、殺ったって言ってるんですか?」 「嫌……彼女は九重和恵さんに呼び出されたって 言ってましてね。彼女は和恵さんが殺された日は エクレアパン教室の日で帰りに玲子さん達と皆で 化粧品など、ショッピングをして別れた後、 和恵さんから電話があったと言ってるんですよ。 哲也の彼女がわかったその彼女に私はこれから会うからあなたも来てほしいのもし、何かあったら警察に電話してほしい場所は麻生製紙工場だからと言われたと言ってるんだ。 そして九重絵理は急いで麻生製紙工場に向かった。その時にはもう、和恵さんは何者かにナイフみたいなもので刺されて亡くなっていたと言ってるんです」 玲子は「私は絵理さんを信じます。絵理さんがそう言うならそうじゃないんですか?」 向田翔琉は玲子に言った。 「でも、それだとおかしいんですよ。遺体が製紙工場で見つかったのは昨日なんですよ。皆で化粧品を買ってその帰りに呼び出されて遺体を見つけたと言う絵理の証言が本当なら三日前の夜に見つかるはずなんだが~」 玲子は向田翔琉に言った。 「私も皆で化粧品を買いに行って帰って来た後 和恵さんから電話をもらいました。 哲也の彼女がわかったと、その人が哲也を殺したんだと……。その後、電話の途中で、きゃーと悲鳴が聞こえて、何度も和恵さんって呼んだのに返事がなかった……私もその時、殺されたんだと思います」 向田翔琉は言った。 「三日前、九重絵理はすぐに警察に電話して事情を警察に話したと言ってるんだけど 通話記録も電話を受けた警官も署にはいなかったんです。その後九重絵理はもう一度工場に戻ったが 遺体は消えていたって言うんだ」 九重絵理は警察が麻生製紙工場に来ないのを不思議に思って昨日もう一度警察に電話した。そして工場に一人で九重絵理は向かった。 そして警察は、すぐに動いた。そしてすぐに工場に向かったと仲間の警察官は言っているんです。 そして、そこに居たのは震えてる九重絵理と工場の中で倒れている九重和恵だったんだ……」 玲子は聞いた「じゃあ?死体を一時的に誰かが隠した?それにもう一つ聞きたいことがあります。工場はお休みだったんですか?」 向田翔琉は玲子に話した。 「麻生製紙工場の機械を新しくするので工場を今はお休みにしているようなんだ。 三日前は機械を新しくするので夜、業者が機械を 見に来る予定になっていたそうなんだ。たぶん九重絵理が本当の事を話しているとしたら三日前一時的に工場の何処かに隠したのかもしれない?」 玲子は言った。「もしかしたら?犯人は工場が閉鎖されている事を知ってる人が犯人じゃないんですか?もし、犯人の立場だったら?九重和恵さんに 哲也の彼女はあなたよねだから麻生製紙工場に来てと言われても行きませんよね?誰かが工場に残っているかも?知れないんだから」 向田翔琉は言った「確かにそうだ。機械をリニューアルする事を知ってる人物。犯人はきっと我々の近くにいる……。人を殺してまで哲也と付き合っていたことがばれると相当困る人物……。」 向田翔琉は「わかりました。また初めから洗い直します。今日はありがとうございました」 向田翔琉は警察署に戻って行った。 九重絵理に弁護士をつけると約束をして……。
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