51人が本棚に入れています
本棚に追加
岩田理恵
井上玲子は岩田理恵を心配しなから斎藤加奈に聞いた「斎藤さん。噂話って?見たって?」
斎藤加奈はグループの皆に話した。
「ここではちょっと~帰りに目の前の喫茶店で~」
グループの皆は斎藤加奈を見て頷いた。
そこへ犬井幸子が井上玲子のグループの方に向かってきた。「岩田さんと何かあったの?走って教室を出て行ったけど?」
「何でもありません。さあ始めてください。先生」
斎藤は岩田の事を何も話そうとはしなかった。
玲子は斎藤が何を見たのか?このグループにだけ
話したいと言った事がとても気になっていた。
これはこのグループだけの秘密にしておいてほしい。まるで斎藤がそう言ってるような感じがした。
玲子はそんな斎藤の気持ちを察して「先生始めましょう」そう言った。
犬井幸子は「そうね。今日はエクレアパンとストロベリー紅茶の入れ方を教えるわね。まずは~薄力粉に湯煎で溶かしたバターとそこの砂糖を入れて泡立て器でよく混ぜてください。その次は~」
二時間でエクレアパンとストロベリー紅茶はいつものように出来上がり後は持って帰るかここで食べるか?をいつものように選択した。
今日はストロベリー紅茶が美味しそうなので玲子のグループは少しだけ食べていくことにした。
玲子はこの教室に入会した時からずっと気になっていた事があった。今日はそれを聞くチャンスだと
思っていた。
この教室の先生……犬井幸子の事を……。
犬井何てそんなにありふれた名字でもない犬井社長と親戚なのか?犬井社長はもう60代後半か?70代くらいに見える。でも先生はどう見ても30代前半くらいに見える~元妻ってことはないわよね?
玲子はパンを食べる時先生に聞こうと思っていた。
「先生私、先生に聞きたい事があるんです。
今日は私達と同じテーブルで食べていただけませんか?」
玲子は思いきって言った。
「あら、いいわよ」犬井幸子はそう言うと井上玲子と同じテーブルに椅子を置いて座った。
「じゃあ頂きましょうか。頂きます」そう言って
先生は玲子達と自分達で作ったエクレアパンと紅茶を食べ始めた。
「ところで井上さん?聞きたい事って?」
「あの~犬井何て珍しいお名前ですね。この近くのomg株式会社の社長を昔テレビで観たんですが~
同じ名字だったのでもしかしたら?親戚なのかな~と思ったので一度聞きたいと思いまして~」
「あらあら、別に隠しておいた訳じゃないけど恥ずかしくてね。言えなかったの。あの人にも言わないでって言っておいたの。だからね昔、中村哲也君の告別式にも行かれなかったわ。こんな私みたいな
若い何も知らない女があの人の後妻なんて事は~」
玲子は驚いた「後妻?犬井社長の?」
犬井幸子は話し始めた。
「そうよ。私ねよく財産目当てとか親戚の人に言われてたの歳も離れてるしね。だから近所の人とか他の人には一切結婚した事は話さないでほしいと誠にも話していたの。
中村哲也君が自殺した時はあの人は海外の仕事だと社員皆に嘘をついたの。連絡が取れなかったあの日私達の新婚旅行と結婚式だった。籍は先に入れておいたんだけど。誠は社長だから忙しくてね。それで時間ができた時に式をあげようって事になってね。
それでね~犬井社長と私との間に子供がいるの。
今保育園に入れているわ。
そして、私も再婚なの前の旦那の子供との間に
15歳の息子がいるの。
この子を犬井社長は凄く気に入ってね会社の跡継ぎにしたいと言ってるの。だから誠の家にあの子だけ住み込みで今から勉強させてもらってるのよ」
玲子は言った。「済みません変な事聞いてしまって先生は犬井社長と別々に暮らして寂しくないんですか?」
犬井幸子は「親戚の人がきて財産目当てとか言われるのは正直きついのよ。だからね娘と二人でアパートで暮らしてあの人がたまに娘と遊んでくれる
私はそれだけで充分よ」
そう言って犬井幸子はにっこりと微笑んだ。
それを聞いた斎藤加奈は言った。
「先生本当にそれだけで社長と別居しているんですか?先生と社長の子供は一人じゃないですよね?」
犬井幸子は急に表情が変わった。
「斎藤さん何が言いたいの?」
斎藤は一言グループの皆の前で言った。
「別にたいした意味はありません。さあ皆帰りましょうか?話したい事があるので~片付けましょうか?」半分お持ち帰りの箱に入れて食べた食器の
後片付けを済ませて。
「先生ありがとうございました」
玲子達はそう言うとエクレアパン菓子教室を出た。
玲子は「斎藤さん。先生に何であんな事を?」
斎藤は無言で教室の前の喫茶店「一息」に入って
行った。
「とりあえずこの席に座りましょう。コーヒー四つ」斎藤は店員にコーヒーを注文するとグループの皆に言った。
「私あの日、見たの麻生製紙工場から出て来た
岩田理恵さんを~そして、犬井社長から封筒を渡されていた事を~犬井社長と岩田理恵さんは言い争いをしていたわ哲也君がどうとか?こうととか?ってその封筒の中身がチラッと見えたのお金だったわ。私はね岩田理恵さんは社長の子供だと思ってるの。
何らかの理由で隠しておかなければならなかった。それなのに九重和恵さんに気づかれて和恵さんを殺害。犬井社長に殺すように言われたとかね?」
玲子は言った。「岩田さんが社長の子供?だとしたら先生はずいぶん前から社長と関係をもっている
事になる。もしかしたら?犬井社長は昔から浮気していたとか?」
「それに私、聞いたの。いつまで隠しているんですか?社長?こんなお金で騙されないって。
あのおとなしい岩田さんが社長に酷い剣幕で怒っていたところを……」
斎藤の話しを聞いた玲子は驚いた。
斎藤は更に話を続けた。
「それに、岩田さんは~何人も男を騙してお金を巻き上げると言う噂まであるのよ。私は和恵さんを
殺して絵理さんに罪を着せたのは岩田さんだと思ってる」
玲子は言った。「証拠もないのに疑うのは良くないわ。もう止めましょうそんな話し。。。仲間を疑うなんて。それに変な噂も信じるの止めましょうよ」
斎藤は言った。
「哲也の無念を晴らそうと思ってるの。私、哲也と和恵さんを殺害した人を許せないの」
玲子は言った。
「中村哲也君とは親しかったの?」
斎藤は言った。「私と哲也は大学を卒業したら結婚しようと話していたの。
でも、哲也はいきなり好きな人ができたその人と
結婚するつもりだ。そう言ったの。
それから哲也は変わった。いろんなところから借金して誰かに貢いでいると噂になったわ。
私は騙されてると何度も哲也に言ったのに。
哲也はその人に夢中だった。でも、彼女の姿を見ている人は誰もいなかったの。哲也も秘密の彼女だって言ってたわ。それでも、振られても私はまだ哲也を愛しているの」
玲子は心の中で哲也を愛してくれてありがとう。
そう呟いた。。。
最初のコメントを投稿しよう!