次の日

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次の日 井上玲子の携帯が朝から鳴った。 「おはようございます。絵理さん?そうなの?よかった疑いが晴れたのね?そうよね~絵理さんが人を殺すわけないわよね~。わかった。ポアロの近くの一息って喫茶店ね。皆もそこで会うのね。わかった。絵理さん今日はお祝いよ喫茶店で悪いけど好きなもの頼んでね。丁度ランチの時間だし、六人皆で会えるなんて久しぶりね」 井上玲子は九重絵理と会える事を素直に喜んだ。 そして絵理に、玲子は聞いた。 「絵理さん。昔の子供時代の事覚えてる?」 絵理は玲子に言った。「それが~私、昔ショックな事があったみたいで施設で育ったの。でも辛い記憶は思い出さない方がいいって心療内科の先生に言われてるの。だから未来を見て生きて行こうと思ってるの。辛い幼少時代なら思い出したくないしね。 玲子さんどうしてそんなことを?私の事何か知ってるの?」 玲子は「ちょっと聞いてみただけだから気にしないで。じゃあ12時に一息で待ち合わせね」 井上玲子は六人に久しぶりに会える事を楽しみにしていた。 「お母さん~お父さん~」 玲子は嬉しくなり井上美智と井上荘司を呼んだ。 「今日ね~パン教室の~」 玲子は弾んだ声で両親に言った。 「そう、よかったわね。じゃあお昼は要らないわね。気をつけて行ってくるのよ。皆に宜しくね。 そうそう、そろそろ哲也の事は警察に任せた方がいいわ。調べると和恵さんみたいに殺されてしまうかも知れないから」 「お母さん私は諦めない。たった二人っきりの家族だった哲也を殺した人を許す事はできない。 皆と仲良くして犯人を突き止めたいの!さあ朝御飯にしましょう。一息に行くまでにはまだまだ時間があるわ」 心配そうな両親を見ながら玲子は言った。 「そう言えば~家って近所から嫌われてるみたい なんだけど~何で?」 井上美智は玲子に話し始めた。 「たぶんそれは~昔、犬井社長の会社が上手くいかなかった時、井上家が犬井社長にお金を貸していたの。当時犬井社長は見かけが~あれでしょう? 人相が悪いでしょう?だからね近所からヤクザが 出入りしてるなんて噂になったの。 それとね哲也はあなたの前だととても好青年らしいけどここら辺ではバイクを乗り回して人を怪我させた事もあるのよ。哲也は当時無免許運転だったの……。その怪我が原因でその子は亡くなったって聞いたわ」 玲子は言った。「それってこの近くで亡くなったの?」井上美智は言った。「そうよ」 「怪我した子供の名前は?」 美智は玲子に話した。「昔だから忘れたわ」 玲子は「そうなのね。両親もこの近くで亡くなったのよね?偶然なのかしら?」 美智は言った。「そうよこの辺りは交通事故が多いいわ。偶然よ」 美智は玲子にそう言った。 玲子は朝食を取り家事を手伝い。 自分を養女にしてくれた井上美智と荘司にせめてもの恩返しだと思い、家の中を約束の時間になるまで掃除をしていた。 そして、約束の時間になると玲子は喫茶店一息に 向かった。 玲子が店に着いた時には本宮と九重と石田が席に着いていた。「こっちこっち~久しぶり~玲子さん」 「久しぶり~絵理さん」玲子は絵理と良子と真理のいるテーブルに急いだ。 「もうすぐ加奈さんと理恵さんも来るわね」 玲子は言った。「来るといいけど?あの二人喧嘩したのよ」絵理は笑いながら言った。 「あの二人はよく喧嘩するのよ。それほど仲がいいってことだからそのうち仲直りするわよいつものようにね」 玲子はその話を聞いてほっとした。 でも、岩田と斎藤は約束の時間が一時間も過ぎても喫茶店一息には現れなかった。 絵理は言った。「ランチの時間が終わっちゃうわ。ランチ先に注文して頂きましょうよ」 「絵理さんがそう言うなら~」絵理はそう言って皆に食事を勧めた。 玲子達は絵理の言葉でそれぞれランチを注文して 食べていた。 「来ないわね。やっぱり喧嘩が原因かしら?後で話してみるわ」 「そうですね~せっかく皆と集まれると思ったのに」 その時、玲子の携帯がなった。 「加奈さんもう、集まってるわよ。まだなの?皆 ランチ注文して食べてるのよ。加奈さん?加奈さんどうしたの?」 加奈の携帯電話から加奈の声が聞こえてきた。 玲子は嫌な予感がしたので携帯をスピーカーにした。 「あなた、まさか?あなたが?あなたが哲也を殺したのね?あなたが~あなたが~キャードボン」 「加奈さん?加奈さん?ちょっと?加奈さん」 絵理と真理と良子と玲子は「加奈さん何かあったのかしら?川に落ちたような音がしたけど?」 絵理は慌てて「ちょっと待ってて」そう言って外に出た。 絵理は一息の外にいる警察に事情を話しに行ったのだ。 絵理はまだ自分が尾行をされていることを知っていた。 警察はこれから付近の川を捜索すると言っていた。 しばらくして、岩田理恵が一息に着いた。 「ごめんなさい。遅くなってしまって」 石田真理 本宮良子 九重絵理 井上玲子の四人は驚いた。「どうしたの?理恵さんその水で濡れた手は?」 理恵は言った。「さっき道を歩いていたら車に 水しぶきをかけられてしまって。済みませんタオル貸していただけませんか?」 理恵は笑って言った。 五人は皆同じことを考えていた。 玲子は聞いた。 「理恵さん聞きたいことがあるんだけど?和恵さんや哲也君の事件に理恵さんは関わってないわよね?」 理恵は「関わってる筈ないじゃない。私もランチ 注文しようかな~。もう、その話止めない? ここにいる皆は友達よね?私は誰も疑いたくないからね」 四人は理恵の方をじっと見たがそれ以上は何も言わなかった。 その日、五人は斎藤加奈を心配していたが久しぶりに会えた絵理とお喋りをして、楽しんだ。 次の日朝のニュースで女の人の遺体が川に浮いていたというニュースに驚いた。その遺体は斎藤加奈 だった。 そして、土手に封筒に入れて濡れないように防水の入れ物に入れてある遺書まで見つかった。 遺書は手書きで 「中村哲也君と九重和恵さんを殺したのは私です 死んでお詫びいたします」 そう書いてあったそうだ。 向田翔琉はすぐに玲子達五人を署に集めて遺書を見せた。 「この字は加奈さんの字ですか?」 五人は加奈さんの字をよく知っていた。パン教室では料理を始める前に分からないところがあれば手順のところにどこが分からないか?を自分で書いて先生にそのメモを見せるという工程があった。 五人は向田翔琉に言った。 「間違いありません。この字は……この遺書は加奈さんの字です」 五人は泣きながら答えた。 玲子はある考えがよぎった。 犯人は一人じゃない。たぶん犯人はこの中にいて 共犯者に実行させている。 疑いたくないけど、斎藤加奈さん九重和恵さん 中村哲也この三人を殺したのは?怪しいのは? 岩田理恵 石田真理 本宮良子 九重絵理の四人と 教室の先生の犬井幸子そして哲也の会社の社長犬井誠。そして、疑いたくないけど、私の父の井上荘司と美智この中に犯人がいる。 本当の犯人は私達の近くで何食わぬ顔をして笑っているに違いない。 玲子は絶対に本当の真犯人を見つけ出す。そう心に強く誓った。 やはり……喫茶店に来た時左手が濡れていた岩田理恵が主犯なのか?本当は哲也の秘密の彼女なのか?玲子は岩田を疑い始めていた……。
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