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告別式
私は警察に行ってから1週間後に告別式を行った。告別式を行うまで時間がかかったのは、私の必死の訴えにもう少しだけ遺体を調べてくれると向田翔琉警部と増田翔太警部は私にそう言った。
いろいろな難事件を解決したスペシャルと言われている大先輩の刑事に遺体と遺体が発見された場所を見せたいと言ってくれた。それでも、向田警部と増田警部も事件の真相にはたどり着いてはいなかった。
その告別式の日に私が、まず驚いた事は私の知っている哲也の友人は告別式には誰も来なかった事だ。その代わりに哲也の会社の人達は大勢告別式に来てくれた。お線香をあげてくれて、涙を流していた。
「この度は~なんて言ったらいいか~私は哲也君の会社の代表取締役社長の犬井誠です。私は哲也君をプロジェクトメンバーに抜擢したばかりだったんです。哲也君は明るくて優しくて人に気配りができる人間としてとても尊敬に値する人でした。
な、何で~自殺なんか。うちの社員はみんな彼を
慕っていました。だからたくさんの同じ会社の社員が告別式に来てくれたんです。本当に才能がある若者を失ってしまって~悩みがあるなら、私に言ってほしかった……」
社長は私にそう言って泣いていた。
本当に哲也が言ってた通り会社は楽しいものだったのか?こんなに大勢、同じ会社の人が来るのも逆に怪しい!私はその時、そんな感情が生まれ、会社の内部に犯人がいる?私はそう確信していた。
でも、その後告別式の途中私は別の仮説を考える事になる。
告別式の途中、私は哲也と同じ歳くらいの男女に声を掛けられた。
「哲也のお姉さんですよね?こんな時になんですが~俺達から借りたお金返していただけませんか?」
「えっ?お金?あの~おいくらでしょうか?」
私は男女三人に聞いた。
「16万円です」
「えっ?そんな大金~何でそんな大金を~」
「バイクを買うと言っていましたね。ほらこれが買ったバイクです。僕達に見せてくれましたよ」
「バイク?哲也~免許取ったんですか?」
三人の男女は言った。
「免許なら持っていますよ。お姉さんなのに聞いてないんですか?」
私は哲也の事を何も知らなかった。仕事で忙しいのを言い訳にして、たまにメールでやり取りするだけになってしまった。私がもっと哲也に寄り添っていればこんなことにはならなかったのに……。
私は涙が止まらなかった。
でも、泣いている暇なんて私にはなかった。
告別式の日、哲也にお金を返して欲しいと言ってきたのはこの三人の男女だけではなかった。
次々にお金を返してほしいと言ってきたので、私は告別式の後、お金を返すのでお悔やみ席の隣の休憩室で待っていてほしいと告げた。
私はお悔やみ席のスタッフに隣の休憩室で待たせているのは御客様ですので、私が行くまでそこにいさせてくださいと頼んだ。
お金を返してほしいと言ってきた男女はがらの悪い人達ばかりだった。
告別式にそぐわないぎんぎらの服。ド派手なメイクミニスカートの女子、歩き方……。
告別式、男女はみんなにじろじろ見られていた。
本当にあんな人達と哲也は付き合っていたのだろうか?会社の社長の話と会社以外の人達の話……。あまりにもギャップが大きすぎる……。
哲也の会社の人達は礼儀正しい方達ばかりでみんな泣いていた。
哲也さんにはとてもよくしていただいた。とか飲みに行ったとかプライベートで遊んだとかいい話しか聞かなかった。
哲也には彼女がいたらしいが、哲也は秘密だと言って、会社の同僚や友人にもその事を話さなかったようだ。
会社の中に彼女がいるから誰にも言わなかったのでは?と会社の同僚は言っていた。
彼女が誰なのか?それだけでも分かれば、
哲也の事がもっと分かるかもしれない?彼女は告別式に来ているのだろうか?哲也の携帯とか日記とかアルバムとか残っていれば何か分かるかもしれないのに……。
警察も私もいくら探してもアルバムや携帯~日記など一切何もなかった。
自殺をする人はそういうものを全て処分するらしいけど、本当に自殺するつもりで処分したのだろうか?私はまだ、哲也の死を受け入れられなかった。
そんな事を考えながら私は、この告別式が終わるとお金を返しにお悔やみ席の隣の部屋に向かった。
告別式の後、お金を哲也に貸した男女から
私は「今回の哲也の自殺は自殺なんかじゃない。
あいつは殺されたんだそれを言うためにここで待っていた。お金よりもそれを言いたかった」
お金を貸した男女はみんな他殺だと言って
私にこの事件の不信な点を教えてくれるとはこの時思ってもいなかった。
がらが悪い印象の彼等は哲也の思い出話や秘密の彼女がいるらしい事など、アルバムなどを処分した事を哲也の性格からしておかしいと私に教えてくれる事になるとはこの時、私は何も知らなかった。
今の私は哲也がお金を貸した男女の部屋に向かう事しかできなかった。
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