犯人の秘密

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犯人の秘密

井上荘司と井上美智はゆっくりと話し始めた。 「玲子~あなたは本当に純粋ね。哲也がうちにいつも来ていたのは私達を説得する為だったわ。 私達に懐いているからじゃないのよ。最初、哲也は困って私達の元に来たのよ……」 玲子は涙ながらに井上夫妻に聞いた。 「えっ?でも、哲也は叔母さんが好きだと言って いたわ。だから時間があれば叔母さんのところに 行くんだって言ってたのに?どういうことなの? 嘘でしょう?犯人って?」 井上美智は言った。 「きっとそれは、哲也が玲子に心配かけないように嘘を付いたのね。これから話す事が真実よ。 私が夫の秘密を知った事から全てが始まったの~ あれは、夫が今の会社を建ちあげたばかりの頃だった……まだ哲也が生まれたばかりの頃だったの。 その頃夫は、銀行に行ったり会社をどこに建てるか?忙しい毎日を送っていた……そして、毎日イライラしていた夫はある日突然、穏やかになったの。そして、会社も無事に開業できる事になって私は安心していたわ。昔は小さなアパートに住んでいたの。私は幸せだったわ。でも、夫は一つだけ私が知らなかった秘密があったの。 哲也のお父さんが経営しているレンタル倉庫を一つだけ無料で夫は使わせてもらっていたの。 私にも内緒でね。 私は全く知らなかったの、夫の本当の裏の顔を……。私が本当の事を知ったのは哲也が高校に入学したばかりの頃だった。 哲也の両親の中村一郎さんと姉の恭子が突然うちに訪ねて来たの。 中村一郎さんと姉の恭子は私に言ったわ。 「変な電話がかかって来たの。 非通知の電話なんだけど、美智さんは荘司さんが うちのレンタル倉庫を使っているのご存知ですか?その倉庫をすぐに開けた方がいいって言う匿名の電話なんですが~。開けることは可能ですか?」そう 二人は言ってきたの。 私は夫が内緒にしているレンタル倉庫を勝手に開ける事なんてしたくない。きっと私にも知られたくない趣味があるかも知れないのでそう言って 断りました。そして……」 井上美智が話の続きを喋ろうとすると、東山警部が井上美智に尋ねた。 「ちょっと、待ってください。美智さんが非通知の電話を掛けた、主犯じゃないんですか?」 井上美智は言った。「非通知の電話をしたのは私達ではありません。はじめは殺害なんて考えもしなかった……」 東山警部は「そうですか……。話の腰を折ってしまって済みません。続きを聞かせてください」 東山警部にそう言われて井上美智は話を続けた。 「中村一郎さんと姉の恭子がレンタル倉庫の鍵を私に渡してきてこう言ったのです。開ける気持ちになったらこの鍵で開けてください。この封筒に倉庫の合鍵と倉庫の場所の地図が入っているから。 そう言って緑の封筒を私達に渡してからすぐに帰りました」 牧田警部は井上美智に聞いた。 「緑の封筒?それは、間違いありませんか?まだ持っていますか?」 井上美智はポケットから緑の封筒を取り出した。 「これです」 牧田警部と岩田理恵は言った。 「その封筒は~」 「間違いありません。岩田理恵さんの家のポストに投函した緑の封筒。人を操って自分は手を汚さず殺害させる最も卑劣な殺人者が使っている封筒に 間違いない」 井上美智も言った。 「そうかもしれません。私達は目に見えない犯人に動かされていた。でも、殺害を犯してしまったのは私達です。夫を止める事が出来なかった私の責任です申し訳ありませんでした」 東山警部は言った。 「話の続きを聞きましょう」 井上美智は話を続けた。 「私はいつか夫が話してくれるそう信じて待つ事にしました。そんな時、夫は私に言いました。 会社を建ちあげてから数年の月日が経っていました。 主人はこの家を建てよう。そしてお手伝いさんを数人雇うつもりだと言い出しました。 私は主人から大きな家を建てるのが夢だと聞かされていたので主人が決めた事に反対しませんでした。哲也は高校一年になっていました。 私達は小さなアパートで家が建つのを楽しみに待っていました。 家が建ったのは哲也が高校二年になったばかりの頃でした。 主人は離れの一部屋に鍵を掛けてある、物置も鍵を掛けてかあるから絶対にそこだけは開けないように。私に何度も言いました。 引越も全て業者の方と主人が行いました。 そんな時、中村家から電話が掛かってきたのです。 そして、私達に言ったんです。 非通知で今、電話があった。 レンタル倉庫に荘司さんの秘密がある。 中身まで引越をされる前にすぐにレンタル倉庫に 向かいなさい。そう非通知の人に言われたようで気になった私はすぐに倉庫に向かいました。 レンタル倉庫の前には既に到着していた中村一郎 さんと姉の恭子がいました。 私達はまんまと非通知の名前も知らない人によって動かされてレンタル倉庫の鍵を開けてしまった。 そして夫の裏の趣味を知ってしまったのです。 倉庫を開けるとそこにはたくさんの主人が殺害した中学生から高校生の女性の写真と殺害に使ったナイフやグローブや縄が飾ってありました。 そして……殺害した遺体と一緒に映っている主人がいました。 私は愕然として声が出ませんでした。 私は震えながらもうすぐ主人が帰って来ます。 家に戻って主人に自首を勧めます。 だからそれまで何を言わないでください。 私は中村一郎さんと姉の恭子にそう言って電車で 自宅に帰りました。 中村一郎さんも姉の今日も恭子も自首を勧める為にうちに来るようになりました。 そんな時、哲也がうちに来たのです。 助けてください。 そう言ってうちに飛び込んで来ました。聞けば増田梅香のストーカーに悩んでいると何をされるか? わからない恐ろしい子だと聞かされました。 それから何度も哲也はうちに来ました。 そしてこのままだと本当の彼女が誰かわかると彼女の身も危ない。 私達は増田梅香を何とかしないとと考えて何度もここで哲也と私達と梅香で話し合いをした。 でも、彼女は話を聞かなかった。 そんな時、哲也は警察に前にも相談したけどまた警察に行くと言い出した。 私達は哲也が出入りしているこの家まで調べられては夫の秘密がばれてしまう。 そう考えて哲也に警察なんて当てにならない。 またきちんとした捜査なんてしてくれるわけない 私達が何とかするそう約束しました。 それから哲也から連絡があってしばらく梅香の姿を見ていない諦めたのかな?と言っていました。 しばらくしてから私達の秘密を知っている哲也の 両親は何故か?見晴らしのいいうちの裏の人通りの少ない夜道の道路で交通事故で亡くなってしまったので私の夫の罪は闇に葬られたのです。 私は心底ほっとしました。 でも罪は罪、私達は哲也と玲子にはできるだけの事をしてあげました。 玲子が哲也を大学まで入れるために仕事をいくつも掛け持って頑張っているのは知っていました。 だから私達は哲也の授業料の援助や食費の援助をしていました。 しばらくして、哲也も増田梅香というストーカーを忘れていた頃、哲也が誕生日にバイクを買ってほしいんだ。姉ちゃんはバイクなんて言うと怒るから言えなくて。 両親が車で事故を起こしたから言い出せなくて。 ちゃんと免許とったら乗るから~車の車庫の横に置いてもらえないかな~叔母さん達は免許持ってい るんだから。俺姉ちゃんには内緒でバイクサークルに入ったんだよ。 だから免許とるまでの間だけだから~そう言ったのです。私達に断る理由なんてありませんでした。 私達はバイクを自分達の車の車庫の隣に置いたのです 哲也はそれは、それは、喜んで学校の帰りに週に 三日はうちに来てバイクを見に来ました。 バイト先をうちの近くにしたのはその為です。 そして会社に入社して哲也はバイクの免許を取ってバイク仲間とバイクを乗るようになって毎日楽しそうだった。 そんな時、哲也は三歳位の子供を連れて来たんです。哲也は私達に言いました。実は僕には子供がいるんです。 この子が誰との間の子供なのか?は言えない。 僕は高校生の頃からずっと付き合っていた。 でも、彼女は結婚している人なんです。 僕は彼女と一緒に旦那さんに言ったんだ。 この子は僕達の子供なんだ。だから別れてほしい。でも、別れてくれないんだと、きちんとするまで 内緒にしたかったんだと そんな時、増田梅香から電話があったと哲也が打ち明けてくれました。 梅香は無事に子供生まれたんだね。 もう、三歳に、なったんだね。 私は誰かにずっと監禁されていたのにね。 それなのに幸せになるなんて許せない。 子供なんて許さないあなたは私と結婚する運命だ。だから子供は邪魔だと言われたそうなんです。 増田梅香もまた非通知の電話の人に拉致されてその非通知の人に子供の事を教えてもらったらしいんです。 その日哲也はこの子の命が危ないしばらく預かってほしいと言って子供を置いて行ってしまいました。誰との子供かも聞かされず、ただ健太と言う名前だけ言って……。 そして~哲也が帰った直後でした。 庭からバイクの音がしたのです。 私は何事なのか?と庭に健太君を連れて出ていきました。 すると哲也が前に写真で見せた増田梅香がバイクに乗って健太君のほうに向かって来たのです。 私達は逃げました。 健太君を連れて逃げました。 この家の中で事故を起こされると夫の秘密がばれてしまうだから家の外の裏に逃げました。 裏は人通りの少ない道です。 中村一郎さんと恭子姉さんが車で事故を起こしても目撃者がいない場所です。 そこに逃げました。 でも、結局バイクの事故によって健太君は救急車に運ばれたかいもなく亡くなってしまったのです。 事故の時、哲也は梅香から電話をもらって 今から井上家に行くと言われて心配になって引き返して来たと言っていました。 ところが梅香は逃走中で哲也が捕まってしました。 でも、証拠不十分だということと言うことと、 増田梅香が犯人だと言うことで哲也は釈放されました。噂で私達がお金を出して哲也を釈放したと言うことになっていますが、それは違います。 しばらくして哲也はもう一度、彼女と一緒に旦那 さんに結婚させてほしい。別れてほしいと頼みましたが許してもらえませんでした。 そして、彼女の旦那さんに哲也が頼む度に増田梅香が私達だけじゃなく井上家の会社まで嫌がらせをするようになったのです。人を使って~。 私達はそれだけは許せなかった。 だから増田梅香を殺害した。 警察は逃走中の梅香を逮捕出来ないのだから。 誰かに梅香はかくまってもらっているのか?梅香の居所はわからなかった。 私達は必死に梅香を探した。 警察官が見つける事が出来なかった梅香は非通知の誰かによって私達は梅香の居所を見つけることができたのです。そして、私達は梅香を殺害した。 遺体は山奥のわからないところにバラバラにして 埋めました。でも、悪いことは出来ないものですね。哲也が友人とバイクサークルで山に行った時に偶然に見つけてしまったんです。 増田梅香がいつも身に付けているネックレスを その日から哲也は私達の犯行だったら自首してほしいと言って来るようになりました。 そして、鍵のかかっている物置と一つの部屋の鍵を見つけてしまったのです。 そして、哲也は会社が休みだった週末にその鍵で開けて見てしまったのです。 夫の秘密の写真や殺害に使った道具を……。 私達は哲也が秘密の彼女の事で悩んで、友人に相談していた事を知っていました。 それを利用して自殺に見せかけて会社の近くで殺害して公園の一番大きな木に吊るしました。 哲也の会社の犬井社長に目が向くように仕向けたのです。私達は非通知の人間は犬井社長だと思っています。そして、彼女は犬井社長の奥さん犬井幸子 さんだと……。私達は全て上手くいった。 そう思っていました。 それなのに、九重和恵さんから呼び出されました。哲也さんの彼女を知っているんじゃないのか? 哲也を殺したのは本当はあなた達じゃないのか? ってね。 私達は和恵さんを殺害するしかないと思いました。これで終わりだと思っていたのに、犯罪なんて犯したくないと思っていたのに。 斎藤加奈さんまで、私達を呼び出したです。 哲也の彼女は犬井社長の奥さんですよね? そして、哲也を殺したのは井上荘司さんと美智さんですよね?違いますか?一度会ってくださいと言われたので行くと私よりも先に岩田理恵さんがいて 加奈さんと理恵さんが話していました。 加奈さんは理恵さんを疑っていました。 あなたが~哲也の彼女?あなただったの?って言ってましたね。私はこれは神様が私達にくれたプレゼントだと思いました。 だから申し訳ないと思いながらも岩田さんに罪をなすりつけてしまったのです。ごめんなさい。私達は容疑の全てが増田翔太に向くように盗聴機を自分の自宅につける事。キッチンの側がいい事。 増田容疑者がもうすぐ電話を掛けてくることを 非通知の人から教えてもらいました。そして、増田容疑者が近所にいるから警察に電話を掛けるようにと非通知の人から指示されたのです。そうすれば、私達の罪は隠し通す事ができると、私達はその通りにしました」 岩田警部は怒りがこみ上げてきた。 「あんた達!妹に罪をきせて罪を逃れようとしていたのね!早く連行して!牢屋にぶちこんで!」 岩田刑事の怒鳴り声が犬井社長の自宅に響き渡った 東山警部は言った。「じゃあ哲也さんの彼女は犬井幸子さんなんですね」 犬井幸子は「はい」そう言って俯いた。 東山警部は「この中で非通知の電話を掛けたのは犬井社長なんじゃないんですか?あなたは奥さんを誰にも渡したくなかった。だから奥さんと別れなかった。違いますか?」 犬井誠は言った。 「それは、違います。私は非通知の電話なんて掛けてない。それに離婚に応じなかったのは私の方じゃない。妻のほうなんだ。哲也君と結婚しても生活が成り立たないそう言うので、私はプロジェクトリーダーに哲也君を抜擢したんだ」 東山警部 岩田警部 牧田警部 盛岡警部と他の 警察関係者は犬井誠が嘘をついているとは思えなかった。 そして、東山警部は言った。 「犬井社長の言葉が本当だとすると裏で犯罪を操って楽しんでいるサイコパスで恐ろしい人間がいる 犬井社長その人間に心当たりはありませんか?」 犬井社長は言った。「ありません」 その言葉を聞いて東山警部は言った。 「皆さん普通にここで仕事をしてください。 私達はこの殺人を裏で操って楽しんでいる恐ろしい人間を見つけない限りこの事件に終わりはないと 思っています。 それに井上荘司が中学生や高校生を殺害した時 側にいて写真を撮った人物、そして自分は写真を絶対に撮らせなかった人物。 その罪を全て井上荘司に被せようとしている人物 本当の恐ろしい犯人を私達は捕まえなければならない」 犬井社長の自宅のキッチンに集まっていたみんなはざわついていた。 「この中にサイコパスな人間が~」 犯人が連行された後もキッチンに集まったみんなは震えていた。 そして…… 「増田梅香を非通知の人間が拉致したのは増田梅香はまだ生きているのに哲也に殺されたと増田翔太に思い込ませる為。 先に中村一郎と泰子夫婦を増田翔太に殺させる為に拉致したのか知れない。 非通知の人間は増田翔太も井上夫妻も、そして増田梅香も意のままに操っている人間だと思います。 みなさん必ず私達が皆さんの命を守ります。 この犬井社長の自宅にいれば安全です」 東山警部はキッチンの皆にそう言って安心させた。
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