僕だけの箱庭

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 頭を下げた男に一瞥をくれると、先生は、僕を見下ろした。 「あなたの箱庭よ。上手く育てなさい」  それだけ言うと、先生はスイっと部屋を出て行ってしまった。部屋に残された僕は、まだ手を繋いだままでいた男を見上げる。 「箱庭というのは?」 「これの事だよ」  男は、僕と手を繋いでいない方の手で、先生が覗いていたものを示した。 「おいで」  男に手を引かれ、さっきまで先生が立っていた場所に立つ。高い位置から覗くためだろうか。数段の階段が設えられている。それを上り、先生がしていたように上から覗き込んだ僕の目に飛び込んできたのは、小さな、とても小さな浮遊する光たち。  その光たちの中央に、ひと際大きく青い光を放っているものと、それに寄り添うように幾分小さい、しかし、周りを浮遊する光に比べれば、大きな金色の光を放つものが、ふわふわと浮いていた。 「これは一体?」 「これが、これからキミが世話をする箱庭だよ」 「これが、箱庭。すごくきれいだ」  僕がそう言うと、男は悲しそうにフッと頬を緩めた。 「本当はもっと綺麗だったんだ。だけど、私の力が足りなくてね。このままでは、もうすぐこの箱庭は崩壊してしまうのさ」 「崩壊とは?」
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